幕間――メタトロンの真実 6
「ハァ、ハァ……」
メタトロンは、ひどく疲れきっていた。
次代の神となる条件は、ただ一つ――地球の記憶を受け継ぐこと。
それは、メタトロンの想像を遥かに超える出来事だった。
時間軸も、場所も、状況もすべてが刻一刻と変化して行く。
かつて、イースター島のモアイは、外宇宙からの侵略者を殲滅するゴーレムであった。
が、敵の元素を変換する攻撃を受け、ただの土くれと化した。
メタトロンの脳内に、光の速さで様々な情報が送られて来る。
超古代文明を誇ったアトランティスは、宇宙を消滅させる魔道科学を発展させすぎて、管理者たるクロノスに神の雷を落とされ、滅ぼされた。水爆の何万倍もの威力を持つ兵器を、偶然にも作り上げてしまったからだ。
高次元の神々が組織する、惑星治安委員会もクロノスの判断に従い、一つの文明を痕跡が残らぬよう文字通り、存在を消した。
さらに、一人一人の人類の生涯を、追体験させられる。中には、殺されたり事故に遭ったり病気になったりと、多種多様な人間の一生を強制的に体感させられる。それは地獄すら生ぬるいと感じるほどに、メタトロンに精神的な苦痛を与えていた。
「ガアアアアアア!」
獣のような叫びを上げて、メタトロンが倒れた。
すいません。疲れすぎて、寝てました。




