表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

104/629

竜虎の下剋上 8

 

 サタンの首を攻める好機が来た。

 テュルフィングを振るう回数も、一万回に達する。バールゼフォンにも疲れの色が見え始めた。バルバトスの援護を期待するが、すでに九割以上の魔力を消耗している。時空系の魔法は、膨大な魔力を必要とする。唯一、伝説の魔女レサルカは自在に、時空を超えたと言う。

 だが、畳み掛けるなら、この場面でしかない。

 両者は、邪眼を使い、体内の魔力を暴走させる。長時間、この状態が続くとバーサーカーと化し、敵味方の判別が困難となる。

 だが、やるしかない。

 魔界を牛耳るのに、カリスマであるサタンを討伐することは絶対条件だ。

 他の魔神らへの牽制にもなるし、悪魔は強者にしか従わない。

 ならば、再生が止まっている今、全力を傾注するのみ!

 ランペイジ・ネイルが一メートルはあろう心臓を切り刻む。爪の半数は欠け、激痛がベルゼビュートを襲う。それでも、金髪緑眼の悪魔は攻撃を止めない。

 帝王になって万魔殿を支配する。それがベルゼビュートの夢だった。

 夢へ王手をかけているのに、引くという選択肢はあり得ない。

 成り上がるしかないのだ。

 野望の炎の、赴くままベルゼビュートは魔爪を振るい続けるのだった。

 ここが正念場と悟ったバールゼフォンが、テュルフィングに全魔力を注ぐ。


「〈ギロチン・ズブラ〉!」


 魔力をまとったテュルフィングの斬撃が、狙い過たずサタンの首に炸裂する。これはサブナックの飛燕斬と同種の技だ。

 帝王の顔が恐怖に歪む。


「バカな! 帝王である余が負けるなど……」


 ゴトリ!


 ついに、バールゼフォンの斬撃がサタンの首を落とした。

 と、同時に巨大な心臓も急速に動きを止めて行く。


「見事ぞ、次代…の後継……者ども…よ」


 そう言い残すと、サタンの眼から光が失われた。

 二人は、ようやく帝王を攻略したのだった。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ