初日。2033年10月31日。
あと1週間でこの世が終わる。
そう聞いた時、まさか冗談が。
そう思った。
流星群が迫っているとの事だった。
数個の彗星が激しく壊れながら地球軌道上を通過し、
大量の岩塊がばら撒かれたのだという。
その数は数万にも及び、
100m級のものもあるという。
そしてその落下が2033年11月6日日曜日。
あと1週間しかないのである。
初日。2033年10月31日。
午後2時の速報でこれを知った私は、
何かの間違いだろうとしてこれを放置した。
夕方になってもこの情報は止まず、
テレビや号外でも知られるようになり、
いよいよ世間が騒がしくなってきた感じである。
夜7時。帰路にスマホでニュースを見る。
この話題で持ちきりであり、
どこに行けば避けられるか、などというものが
テレビのワイドショーなどで論じられていた。
しかしどこかで信じられない所があり、
陰謀論などというものも出てきていた。
しかし陰謀論などを見ると、
設定に無理があり過ぎて、
却って現実を受け止めさせられるのである。
しかし世間には陰謀論者が増えていき、
有名人などもそれを標榜するようになっていった。
夜12時、日付が変わる頃、
遠方の友人から連絡が来た。
一生連絡を取る事はないと考えていただけあって、
かなり驚いた。
その友人は明日からネパールに行くのだという。
隕石が落ちると信じながらも、
希望を失っていないのだろう。
その友人は最後に一言。
「話してくれてありがとう」と。
かなりの数の友人に電話を掛けたが、
殆ど繋がらなかったのだという。
回線が混雑していたのではなく、
電波が届かなかった訳でもなかったらしい。