【エピローグ】第一部完
―― エピローグ ――
空が橙と群青に染まる頃、
「んっ――……、ここ、は」
「あらおはよう」
背中に居る糸さんが意識を取り戻す。
「神社に帰る道だよ。気付いたら糸さん、鋏と共に目の前で倒れてるんだもん」
「……、そうでしたか」
今はハサミ状態で僕の頭上に眠る鋏も、糸さんも、何があったかを語らない。だが、僕は知っている。
「縷々子……いや、ルーから大体の話は聞いたよ。とっちめておいたから安心して」
「そう、でしたか。……しかし、何故切れた縁を繋いだのに、蜜さんは以前のままで……?」
「ううん、ルー曰く『私のお兄ちゃん何だから耐性あるんじゃない?』だって」
妹の適当さに、糸さんが黙ってしまった。
「しっかし、女の子をおんぶするのは初めてだなぁ。凄い青春て感じ」
「……縷々子さんからは、あ、赤い縁糸の事も?」
「ん? 何の話? そんな事は一切、だったよ?」
「……なら、いいです」
「え〜教えてよ〜」
「しつこいです。……明日は学園祭の二日目だったり神社で神前式があったりとで忙しいので、寝ますね。しっかり姉を運んで下さい」
「その設定まだ生きてたんだ〜」
長い一日が終わる。
どうしてだかさっきから、ずっと小指が熱かった。
第一部完




