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沙羅さんの元に着くと、丁度蜜さんらも着地する所で、


「おかえり因幡さん。悪いね、ウチのポンコツな姉がまた迷惑掛けちゃって。コレだから行動力のある馬鹿は手に負えない」

「おめぇが言うなよ沙羅! ってか今はこのロボハンド外してくれ、抜けな……オワッ!」


そんな事を言った矢先に手の締め付けが緩んだようで――『ポフリ』、蜜さんの両腕に収まる。お姫様抱っこ、というやつである。


「な、何だよ蜜、ウサギ島ン時のお返し、てか?」

「?」

「何で忘れてんだよ!」


……、本当に、打ち解けた二人だ。羨望さえ覚える。


「樒様! 次こそは我が野望を達成させますわ!」

「オサワガセシマシタ」

「もう諦めろよ! あっ、逃げやがったっ」

「ええぃいつまでくっ付いとるんじゃお前ら!」

「急に出てくんな鋏!」

「樒さんいいな~それ……、にしても。どうしましょ? エリジンライブ」


あ~……と、二の句が告げない私達。縷々子さんの言うように、目の前のステージはボロボロだ。


「見た感じ、音響関係も今は死んでるみたいでマイクも使えないわね。少し待って貰えば何とか出来るけど、どうする因幡君?」

「ん~、今の盛り上がりのまま行きたいからなぁ、シロロさんでも復旧に一0分以上掛かるでしょ。あり合わせのショボイ音響使うのもあれだし……ま、縷々子ならイケるよね、てかイくよ」

「わっかりました~♪ 卯月さん達呼んで来ますね~」


――そうして、ステージ上にエリンギジンジャーwithウサギ演奏隊の面々が上った。

観客は先程の騒動で騒ついてはいるが、エリンギジンジャーに向ける視線は少なく感じる。「すぅ」――センターに立つ縷々子さんが小さく息を吸って、


「ちゅうもおおおおおおおおおおおおおおく!!!」


――ピタリ。騒つきが一瞬で止み、観客が一斉に壊れたステージ上のエリジン(ミニ巫女服仕様)を注目した。樒さんよりも小さい声量なのに、不思議と響く縷々子さんの声。


「こんにちはー! 五色神社のマスコット、エリンギジンジャーでぇーす! マイク無しですいませーん! でもこのままライブ始めまーす! 聴いて下さーい! 新曲【エンジェリック・デスティネーション】! ……ハィワンツースリーフオッ!」


『ダダンッッ!!』と太鼓の音から曲が動き出す。ウサギ演奏隊の奏でる和楽器の音色は宛ら和風ロック。その曲に合わせて蜜さんと鋏がダンスを始め、縷々子さんが歌い出した。

歓声を上げるでもなく、魂が抜かれたようにステージを注視する観客達。

聞き惚れるのとは違う、心臓を止められるような威力のある、暴力的な【天使】の歌声。


「何だ……あの子は?」


――いつの間に私の隣に居たのか、蓮華さんがステージ上の縷々子さんに釘付けになっている。呆然と、でもなく、私が隣に居るのもお構い無しの、見惚れた表情で。

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