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「うひゃあ〜、思い切った事するネェ茶栗ちゃん。お客さん達はイベントか何かだと思ってるみたいだけれど……ふふ、更に盛り上がって来たねっ」

「へぇ、このタイミングで来た、か。まぁまぁ及第点ね」――そう、不敵な笑みで見下ろす屋上組二人。流石は帝釈学園生、テロには慣れてる。内部からというのは珍しいが(過去に無かったワケではない)。

「やい茶栗! 面白え事おっ始めたじゃねぇか!」


――マイク無しでも通る声で叫ぶのは樒さんだ。


「けど、ここが何処か忘れたワケじゃねぇだろうな? 鬼も裸足で逃げ出す帝釈学園だぞ! そんなデケェ玩具動かされて、黙って見送る暇人が居ねぇのは知ってんだろ!」

『ふふ、樒様、よぉく知っていますわ。学園の猛者の強さは、樒さんを含め、ね。しかし皆さん、大変お疲れの御様子ではなくって?』


疲弊、しているというよりは、大半の生徒らが動くのを面倒臭がってるように見えるが。因みに、動ける筈の乙女校長とぽおる学園長だが、呑気に焼そばを啜って野次馬と化していた。

『自主性を重んじるスタイル』らしいので、手を出す気は無いのだろう。寧ろ世界征服などという大胆な行動に褒めるまである。茶栗さんもそれを分かって行動している筈。


「……、はんっ読めたぜ! 確かあのマロンシステムには疲労機能があったな!」

『その通り! 学園の実力者を疲弊させ、計画の邪魔をさせないようにする! 完璧な作戦でしょう?』

「へっ、ならアタシが遊んでやるぜ! 初戦敗退だから暇だし疲れてないし、な!」


自虐しつつ己の何十倍もの大きさのロボに飛び掛かる樒さん。あの巨体だ、避けられるわけ――が、


『アクアプラス!』『ハイ』「……な!?」


難なく巨体を捻って躱すロボ。軽やかな身のこなしだ。


「アクアプラス、だと? そんで今ロボから聞こえた声……中にアクアが居ンのか!」

『ですわ樒さん! 勘違いしてらっしゃる御様子ですが、コレはロボットではありません! アクアが纏う拡張パーツ……いわば鎧ですわ!』


隣でモノさんが「やっぱりモビルスーツだったねぇ」と満足気に頷いた。


「面白え! 遊ぼうぜアクア!」『ワカリマシタ』


交錯する両者。樒さんはフェイントを織り交ぜたりと奇抜な動きで強襲したりするも、茶栗さんを手に置いた状態のロボに触れる事すら叶わない。

一方、観客は緊張感無く盛り上がっていた。


「ちっ、ヤるなアクア! まるでアタシの動きの癖でも読んでるような動きだぜ!」

『ふふ、流石樒様、その通りですわ! 失礼ですが、コレに見覚えがおありで?』

「何だ茶栗、白衣を裏返して……いや、その黒い布は……ひと月前の黒装束テロのか!?」

『良いリアクションをして下さるからす、好きですわ樒様。勘の良い方ならば既にお気付きでしょうが、ひと月前、学園を襲った黒装束ロボはわたくしが遣わせた【計測器】ですのよっ。これにより、学園の実力者方のデータは、マロンシステムのを含め全てアクアにインストールさせています!』


ここまで全て順調であろう彼女の計画に、「こりゃもうお手上げだわ」とモノさんは諦観、シロロさんに至っては「他人の積み上げた積み木を崩すのが好きなのよねぇ」とソワソワしていた。


「ヤルじゃねぇか茶栗! しあしてめぇ、何でそこまでして世界征服だかに拘る!」

『ふふっ何をおっしゃって……勿論樒様の為に、ですわっ。腑抜けた世界とは真逆のユートピアを創りっ、貴方が楽しめる世紀末世界にするんですの!』

「待てよ!? それだとアタシが共犯みたいになるじゃねぇか! 益々アタシが止めなきゃだろ!」


再度飛び込む樒さんを跳躍で避けるロボット。そのまま無音の滞空状態になり、


『もう少しお相手したい所ですが、時間ですわ樒様。これからわたくし達は、手始めに首相官邸へ向かい『アアンッ!』キャア!?』


と。今まで隙の無かったロボットが、突然ガクリとバランスを崩したように揺れる。

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