表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/151

70

午前一0時半前。


既にクラスメイトらによる模擬店は営業を始まっていた。境内は当然として、鳥居外の石段両隅にもズラリと構えている。

店の内容も凝っていて、エリンギお好み焼きや五色カキ氷、結び昆布や結び湯葉等の入った結びおでんセット(おむすび付き)など、全て『縁』に関するコンセプトのようだ。

多種多様な模擬店のお陰か客足も順調で、このままのペースならば近年で最高の来客数になるだろう。


勿論模擬店は同日に祭をする学園の方にもあり、最も売り上げの高いクラス――出店は二人ペアから出来る――には海外旅行の褒美があるようで、皆燃えていた。


「ホラホラ押さないで押さないで、皆の分はちゃんとあるピョ〜ン」


ピョンピョン跳ねつつ【月の萩】の為に並ぶ連中に手を振る卯月さん、その背後ではマッチョウサギらが五つある臼でペッタンペッタンとパフォーマンスのように高速で餅を搗いている。

更に先程、仕上げと接客(中の人の姿)担当のマッチョウサギらが応援に来たようで……あの一帯の光景はハッキリ言って異様だ。しかし、モノさんの宣伝効果か将又幻の銘菓が無料で食べられるとあってか、順調に行列は伸びていく。神社側からすれば、来客増加貢献に素直に感謝だ。


「ほら糸、ボーッと眺めてないでそろそろ五色神楽始めちゃうよっ」


と母さんに声を掛けられたので、舞台のある境内の中央に向かう。ここから見えるのは『スカスカのジェンガ』のような木の土台の……昨晩ぽおる学園長が『教師陣を緊急招集させ組み立てさせた』即席の舞台だ。年中イベントごとの多い帝釈学園ならではの準備の良さである。


――おや? 尾裂狐先生だ、クラスの様子を見に来たらしい。擦れ違うも、私に気付かぬ程疲弊した表情で……寝不足だろうか?


「はい集まったね、それじゃあ昨夜阿弥陀籤で決めた配役を確認するよヤング達っ。縷々子ちゃんとウサギさん方が演奏、学園長が虎、そして……蜜ちゃんが天使、糸が語り部で、樒ちゃんが巫女役、と」


母さんの言葉に皆が頷く。この場に居るスタッフは現在『蜜さんを除き』全員が五色神社の巫女服と、飾り付けにもある五色鞠を模した髪飾り(売店にて千円で色違いレプリカを販売中)を着用していた。


「ウヒョ〜皆可愛いねぇ! 生放送の視聴者がどんどん増えてくよっ! 特に樒っちなんて猫耳尻尾巫女服とかあざと過ぎない!?」


確かに樒さん、普段と雰囲気がガラリと変わっている。巫女服と、普段下ろしっぱなしの髪を一つに結い上げている為か、さながら気品のある聖女。


「うるせぇモノ本番前だぞっ、おい沙羅ニヤニヤしながらビデオカメラ向けんなっ」


モノさんの手元にあるタブレットには、沙羅さんの持つハンディーサイズビデオカメラ(シロロさん特製)の映像がリアルタイムで映し出されていた。

画面上、右から左に流れるコメントには


『俺達の樒姉があんな女らしい格好をする日が来ようとは!』『流石マスゴミモノ姉貴! 俺達に出来ない事を平然と(ry』『あれ? 何か映像に、下半身の無い女の人が』『ぅおっ、誰だっ、エリジン巨乳担当のルーちゃんにも劣らない巨乳巫女が!?』


と様々な欲望が……、沙羅さん、いつの間に私にカメラを向けていたのか。やめろ。


「はいはいっ、じゃあ行くよヤング達っ。……主役の蜜ちゃん、準備はよろしい?」


首肯する蜜さん。彼だけが、皆の服装と毛色が違っていた。


――それらは、五色神社の『始まり』から現存し、云百年経った今でも色褪せも虫食いも無い完璧な状態で保管され――

それらを身に付けていた者は、鋏をこの地に落としたとされる天使で――

透ける程に薄く揺れる度に赤青黄白黒と色の変わる霓裳羽衣と、オリジナルの五色鞠髪飾りと、


紺色の【女子旧スク水】。


スクール水着、だ。残念ながら、悪ノリでなく事実らしい。まさか大昔からスク水があったとは。


サイズはピッタリ。一部の膨らみは羽衣で上手く隠してあり、そして例の如く、本人に恥じらう様子は無い。

阿弥陀籤の結果次第では彼以外が切る羽目になっていたのかと思うと笑えない(蜜さんとスク水が縁糸で繋がっているのは見えたが、それでも安心出来なかった)。

因みに先程から静かな鋏だが、蜜さんの頭にハサミ状態で接着中。五色鞠髪飾りとあいまって、今の蜜さんの頭はゴチャゴチャしていた。


「お兄ちゃん最高に背徳的で可愛いですっ」

「はいはい、それより縷々子は演奏側だけれどウサギガールズの皆さんに迷惑かけないでね?」

「大丈夫です! 昔から知らない仲では無いし、遊びで笛や太鼓のセッションも何度かしてるんで!」

「頑張るウサよ二人共っ。卯月は参加出来ないけど餅搗きながら応援してるピョン! ……う〜ん、やっぱこの羽衣、因幡一家にも似たようなのが……?」


『ハァイ、それでは皆様此方をご注目下さい! これより執り行いますは、半世紀振りにお披露目出来る事となりました我が神社伝統の――』


母さんのマイクの声で、客が皆こちらに視線を向けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ