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「ふぅ」


――今日だけで溜息は何度目か。

その原因の大抵が蜜さん絡みだ。悩み事は尽きない。


(彼にとって、私はどういった存在だろう)


同居人? 姉的立ち位置? それとも都合の良い……、……いや、考える必要などないか。どう思われようが、『都合の良い姉』を演じると決めたのだから。

ノブを回し、廊下を出る。「あれ、どうしたんですか?」

と。同じタイミングで、縷々子さんが隣室から顔を出した。何という気まずさ。


「はぁ、ちょっとトイレに」

「成る程、私もなんです、蜜さんの物音で起きちゃって……お先にどうぞ」


この反応はどっちだろう。先程の部屋での会話を聞かれて無ければいいが。長い会話は都合が悪いと判断した私は、「では」と頭を下げ、一階のトイレを目指す。階段を下りて行って、


「全く、〈お兄ちゃん〉たらこんな深夜に……」


――

足を止め、振り返り、見上げる。『別の誰かが居たような』気がしたが……やはり縷々子さんだ。彼女は私の視線に気付くと微笑んで、


「ああ、聞こえちゃいました? 今度から蜜さんをお兄ちゃんて呼ぶ事にしたんです。『メンバー同士だし好きな呼び方でいい』って言われたから。私、昔からお兄ちゃん欲しかったんですよね」

「そうですか」


と頷く事しか出来ない私。彼にとっては都合の良い展開だ。……なのに、


(この違和感は何だ)


頭の隅に何かがこびり付く。物事が上手く進み過ぎてるが故の不安だろうか。

その正体も掴めぬまま、私は階段を下りて彼女から離れる事しか出来なかった。

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