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夜。


バスに乗った帝釈学園一年生一向は無事、箱根の旅館(オーナーは校長)に到着。大広間で夕食をとり、軽いミーティングをした後、自由時間となる。


――さてと。お風呂タイムだ。問題のお風呂タイムだ。


「みつ! ふろにいくぞふろ!」


と、二人用の和室に着いた途端、ハシャギだす鋏。


「う〜ん、それなんだけど鋏、僕は深夜に入る事にするよ。それなら『見られる』リスクも減るし」


再確認しておくが、僕は今女子として学校に通っている。

大きな理由としては『間違えて注文してしまった女子の制服を処分するのは勿体無い』というのと、『ファンの多い糸さんが男と同居してる事実は暴動が起きる』という二つで……


うん……実際、そこまで女子で居なきゃな理由でも無いし、蓋を開ければ糸さん、慕われてはいるがアイドル的な人気者でも無いし。でも、もう慣れてしまったというのもあったり、少しだけ、『どこまでバレないか』を試したい気持ちもあったり。

正直、今の生活に不便は無い。無いのがおかしいのだけれど。


「えええ〜いやじゃいやじゃ! いまはいりたい! むろん、みつもいっしょに!」

「この子は我儘を……糸さんからも何か言ってよ」

「不本意ながら、私もそこの疫病神と同意見です」

「これだから五色家はっ。……因みに、その心は?」

「少ないとはいえ、バレるリスクは深夜入浴にもあります。集団で入浴するのが苦手な子もいますしね。それならば、私がサポート出来る今の時間に入浴した方がまだマシかと。言っておきますが、深夜入浴には付き合いませんよ? 一0時には寝たいので」


優良健康児め、言ってる理屈もよく解らんし。まぁバレるリスクが同じ位なら彼女に従うか。鋏の望みも叶うし。



キャッキャウフフキャッキャ ア〜 ユミサラニオオキクナッタ〜? ヤダ〜ヤメテヨ〜 フヘヘ


むせる程に満ちるシャンプーと檜臭、天然湯による生温い空気、目の前に広がる肌色

現在、僕は浴場で女子の入浴を見ていた。大胆な覗き行為である。


「あまりキョロキョロしないで下さい。怪しまれますよ」


ボソリとすぐ側で注意してくれる糸さん、『真っ裸で』、である。いつぞや(初日)のお風呂時と違い、僕に対する羞恥心は既に皆無らしい。

乳白色の湯に浮かぶ彼女のほんのり桜色な母性、こうして改めて近くで眺めると本当にデカい。

隣で『犬神家ごっこ』と称して逆立ちする鋏のお尻並にデカい。

一般男子なら鼻血ブーしてるだろうな。表現古いな。


「糸さん糸さん、おっぱいがいっぱいだねっ」

「そうですね」

「ま〜た二人でコソコソとっ」

「ひゃん!?」


と、恐らく僕の口から出たであろう声は、急に後ろから僕の乳を揉んで来た真っ裸のモノさんが原因だ。 アレ? デジャヴ?


「お、お? ふふ、蜜ちゃんナカーマ!」


何の事やら? と少し考えたが、背中に当たるこぶりな脂肪で察した。


「――ぷはっ! ……むむっ、こらこらこら〜! かってにみつのちちをもむな!」


逆立ちを崩して早々威嚇を始める鋏に「わっ! ごめん!」とモノさんは僕から離れる。


今更だが、旅行に着いてきた鋏の事をクラスメイトらには『突然やって来た僕の妹』で通した。すんなり通ったのは、昨日ママさんに撮られサイトにアップされた動画が、思いの外広がってたからかな?

校長も『ふぅん妹さんね、了解』と意味深な視線を寄越すだけで……全く、あの人にはどこまで筒抜けなのやら。


「蜜ちゃんの妹さんとは思えない位パワフルな子だなぁ……おや? わ、コレで無いチチ同盟が三人になったよ! どうだ糸っち! (グイッ)」

「どうだと言われても(チャプン)」

「だれがないちちじゃ! しんのすがたでは『ぼいん』なんじゃ! (グイグイッ)」


三人の女の子が恥ずかし気もなく胸を露わにしている。う〜む、お湯が白濁色で助かった。


「くっ……虚しい……どうしたらそんなに大きくなるのか……」

「適度な運動と美味い食事、それだけです。もしくは好物であるグミのコラーゲンが効いてるのかも」

「ふん、はついくがいいのもかんがえものじゃがな。もぐってわかったが、みつは【むだげ】ひとつないのにたいし、いとはがぼぼ!?」


鋏が糸さんに沈められた。


「あ、そうだ、明日皆で【ウサギ島】に行かない? 地元には【ネコ島】があるけど、神奈川にはウサギだらけの島があるんだって〜」

「何ですか突然。無理ですよ、明日は竜宮城なので。それにウサギ成分は足りてます」

「はぁ、だよねぇ。ちょっくら行ってさ、そこの記事を書きたかったんだけど、どうも沙羅っちとシロロっちも現地に行くみたいで……他の人が居ないから気まずいんだよね」


おさらいしておくが、沙羅さんとモノさんは幼馴染である。彼女曰く、昔は仲が良かったが、彼がモテ出してから付き合いに困ってるようで……


「――ぷはっ。ふん、くだらん。おおかた、ちちをおおきくしたいのはそのおとこのためだろう?」

「は、はぁ!? 何言ってんの鋏ちゃん! ありえないし! 興味無いし!」


おや? モノさんたら顔を紅くして……この反応は……


「あきらめろ。おまえにそのきがなくともがぼぼ!」


鋏が糸さんに沈められた。


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