5.自己紹介(視点:美波)
松田美波の視点です。
これから高校生活を送る教室に入って目に入ったのは、なんだか見覚えのある茶髪にポニーテールでぱっちりとした目をした女の子だった。その時は「ときスク」の新作の女の子に似てるな、くらいに思った。
けれど、入ってきた担任の先生を見て二人の共通点を思い出した。
え、やっぱり…ときスク?
声に出してたのも自分では気付いてなかった
自分自身の現状だけでも驚きなのに、斉藤真紀からの爆弾発言で頭が痛い…
自分が突然死んでしまったこと
転生していたこと
転生先が乙女ゲームだったこと
他にも転生して記憶がある人がいること
このゲームの発売前に死んだこと
色々理解が追い付いてない現状だし、自己紹介なんて嘘さえ付かなければ無難でいいやと私は思ったんだけど
「斉藤真紀です、趣味はお散歩です!引っ越してきたばかりで近くのことあんまわからないのでよかったらオススメ教えてください!」
あの子は真面目に答えてるのね…
でも趣味お散歩って…今時珍しいような…
ん?
それよりもこの子も引っ越したばかりなの?
本当にゲームの世界なのね…
私も引っ越してきたばかりで知り合いがいない
ときスクは高校からスタートする
知り合いがいるケースもあるだろうけど深い仲の友達はいない
そして私は高校からスマホを持たせてもらったから、それ以前の友人と連絡もとる気はなかったし…
今思うと、なんとまぁゲーム進路を曲がらず生きてたんだなぁと…
なんて思ってると、攻略対象の花守蒼生が自己紹介していた。
私は王子様タイプはちょっとなぁ…ゲームならともかく現実だと無いなぁ…格好良いとはもちろん思うけれど。
それよりも、冷たいけど自分には高校したら優しくなるようなクールなキャラの方が私は好きなのよね…
あ、隣でなんかあの子がにやけてる…
王子様狙いか、どーぞどーぞ
私は辞退するわ…
…生スチルは気になるけど、そこはうまくいってそうなら後々感想だけ聞こうかしら?
情報は主人公と王子様と先生のビジュアル情報までで止まってるのよね…あとはまだシルエット…
なんとなくどういうタイプがいるのかは今までのときスクシリーズで想像付くけど、全員と出会うとは限らないのよね…
出会えたとしても
…そもそも好感度の上げ方って今までのシリーズ通りなのかしら?
現実的に考えるとありえなくない…?
せっかくの同じ転生者と出会えたのだし、放課後話すことを決めないとね…
はぁ…この3年間どうなっちゃうのかしら…