24.お誘い
「おはよう、松田さん」
「あら、佐原くん…おはよう」
翌日、登校中に佐原くんに声をかけてもらえた。学校ではこの間休み時間に勉強をしていたら、こちらのクラスの友人を訪ねてきた佐原くんと会えたがそれっきりだった。バイトで会うので2日ぶりくらいなのだけれど、バイト中は話せないし…
(好みのタイプから話し掛けられるというだけでなんだか嬉しい気がするわ…)
「松田さんはクラスとか環境には慣れた?」
「ええ、話しやすい友人が出来たわ…あの虹の色って本当だったのね」
噴水の虹が黄色なら素敵な出会いがある…
そう教えてくれたのは佐原くんだった。
(真紀に会えたこと、本人には言えないけどすごく助かってる…感謝してるのよね)
「そう言ってくれると教えたかいがあったよ。」
そう、人間関係には真紀と出会えたので気持ち的にも大分楽にはなった。
けれど…
「ただ、環境はまだ慣れていなくて…。
仲良くなった子も引っ越してきたばかりの子だから、お互い周辺には詳しくないの。遊びに行くとしても場所があまり思い当たらなくて…」
ゲームならデートでも選択肢があるけれど、私達には選択肢がない。選択肢に縛られないと言えば聞こえは良いが、ようは場所がそもそも分からない。
「確かに、改めて考えると地図とかを見てもピンとこないかもな。遊びに行くことも少ないから考えたことは無かったけど、まずは出掛ける定番みたいな所から試すのがいいんじゃないか?」
「その子ともそう話して、今週の日曜に遊園地に行こうと決めたけれど…二人だけで行くのは心配だから、誰かを誘おうかって話していたの。さ、佐原くんが良かったら…一緒にどうかしら?他の人もこれから誘うから何人になるかは分からないのだけど…」
少し声が裏返ってしまったかしら…
うぅ、こういう誘いは照れるし慣れないわ…
「その日なら予定は無いから大丈夫だな。遊園地は久しぶりだからうまく案内できるかは分からないけど」
「ありがとう、助かるわ」
私は心の中でガッツポーズをした。
後は当日に上手く話せると良いのだけれど…
「ところで、あの遊園地はどんなアトラクションが目玉なのかしら?」
出掛けるのが楽しみになってきた私は遊園地に思いを馳せていた。
(絶叫系は好きなのよね…ジェットコースターとか高いのあるかしら?)
「あぁ、あそこならお化け屋敷が有名だな。もちろん一通りアトラクションはあるけど…」
「え」
ピシッ…と体が固まるのを感じた。
うぅ、ホラーは苦手だったりするのよね…
子ども騙し程度なら大丈夫だけれど、有名ってことは…
「機械じゃなくて人が驚かせて来るタイプなんだけど、それがまたリアルでビックリするんだ…あー、その反応だと苦手か?」
「……少し」
(すみません、本当はとても苦手です。)
絶叫系だとしてもそっちの意味では叫びたくないわ…
「それなら俺も別に好きって訳じゃないから、他のヤツが行きたがったら一緒に待ってるか。」
「…ええ、助かるわ」
遊園地、少し怖くなってきたわ…
待っていられるならその方が良いけれど、こういうのは避けられない気がする…
◆ ◆ ◆
そして遊園地当日。
(どうしてこうなった…)
ゆかりと咲良は急用で来れなくなった。
三谷くんと玲奈も部活の為に買い物に行くようだった。
真紀に頼んで萩原さんを誘ってもらったけれど、やらなければいけない事があるようだった。
待ち合わせ場所にいるのは、私と真紀と佐原くんと花守くん。
真紀と花守くんがアイコンタクトを取っているように見える…
…確かに二人きりよりはマシだけれど…
(どうみてもダブルデートよね、これ…)
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