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君に再会するまでのX X年間  作者: ふくろう亭
ファースト
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44 密告

 高校2年生の日々はあっという間に過ぎ去った。レッド・ツェッペリンの移民の歌がずっとBGMとして流れながら、コマ落としのフィルムのように俺ははしゃぎ回っていたような気がする。

 学内だけでなく地元商店街や他校(主にN高)もまきこんだ文化祭は俺たちの目論見以上の大盛況だった。その勢いを駆って体育大会に突入、文化祭で売店も多く出していたので、その売上による豊富な資金でクラスやチームの応援合戦も例年を上回る派手なものになった。資金は一円でも残してはならない、もし残したら生徒会が没収ししかるべきところへ寄付をする、と俺は生徒会会長として宣言をしていた。

 これらの行事での金の動きはクラス単位、部活単位で正確な会計報告を提出させた。予め金銭出納帳を用意して配布しておいたので正確さはまずまずだと思う。まとめ上げた会計報告を生徒会報として校内だけでなく関係した外部団体(広告という名目で寄付をしてくれた地元商店街、食べ物を販売するためにお世話になった保健所、ファイアーストームの実施を相談に行った消防署、最寄り駅に駅前交番等など)にも協力のお礼を兼ねて生徒会として直接手渡しで配りに行った。総額は七桁の規模だったから結構驚かれた。そりゃ全学年30クラス、参加部活が20超えですからね、それくらい当然です。最終的に残ったのも十万ほどだったので寄付先にした赤十字には喜ばれました。

 あー忙しかった。まあデータは全て残したから来年どうするかは後輩諸君に委ねます。ちなみに学校側としては賛否両論だったようだ。必然的に調整役になってしまった顧問先生には苦労をかけました。ご家族を来賓として優遇したからチャラですよね。

 さて、季節は冬になり俺は一つの計画を実行することにした。今度こそ俺の知っている悲劇を回避するために。

 手紙を数通作り大阪まで行って投函した。最後には公衆電話から電話も掛けた。宛先は大阪府警警備部だ。内容は連合赤軍を名乗るグループがライフル銃などで武装して雪山に小屋を作り訓練を行っているというものだ。

 そう、俺はあの戦後史に残る悲劇の同士殺しをなんとかして防ぎたかったのだ。

 今までいくつかの事件事故をなんとかして回避を図ってきたが全て失敗に終わっていた、原因は結局のところ発生の時期と場所の特定が難しかったからだ。例えば飛行機事故を予防しようとする。この夏にも墜落事故があったのだが、俺には正確な日時も飛行機の便名もわからなかった。起きたあとになって思い出すしかなかった。事件を報じる新聞の見出しまで思い出せても詳しい情報まではわからない。大事故でそれだ、だいたい自分が刺された事件さえわからなかったんだ。

 だが今回は違う、もちろん俺は彼等連合赤軍のことなどほとんど知らない。覚えているのは群馬県の榛名山に山岳ベースを作り集団訓練を行っていたこと。その過程で同士殺しで十数人が亡くなっていた事。最終的に追い詰められて浅間山荘に逃げ込み警察隊と一週間に及ぶ銃撃戦を行ったことぐらいだ。

 どこまで警察が彼等の行動を把握していたのかはわからない。しかし今現在、雪の山中に小屋を作り武装して訓練しているということまでと、その場所まではさすがに特定出来ていないと思う。だからこの曖昧な情報でも飛びつくのではと期待したのだ。警視庁や警察庁を告発先にせず大阪府警を選んだのもリアリティを出すためだ。関西からの参加者もいたはずで、その中から告発者がでたというシチュエーションを作ってみたのだ。

 出来れば年が変わる前になんとかならないか、そう俺は期待した。

 そしてクリスマス直前にニュースが流れた。

 「武装グループと雪の山中で銃撃戦」「三十数人を一斉検挙」「双方に死者、重傷者多数」

 これは。

 少しはましな現実なのか。

 

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― 新着の感想 ―
[一言] 浅間山荘事件を未然に防いだら、カップラーメンの普及が遅れるのでは?
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