3 クリエイトアンデッド
「クリエイトアンデッド」
今回俺のスキルは不発に終わる事も無く発動した、青白い光が三体のホネを包む。
「イヒヒ、神秘的じゃないか」
青白い光はホネの物言わぬ眼窩に収束し、ホネが立ち上がる……。
「スケルトンか、まんまだな」
「イヒヒ、いいじゃないかボクは好きだよ」
「おっと告白されちまった」
「そういうのも禁止ー」
ゴスッと肘を打ち込まれHPが危険域まで減少した、なんかスワンって後衛職なのに力強くないか?追撃が怖いから言えないが。
「お前からプロポーズとかネタ振った癖に」
「知んないもん」
スワンがシュッシュッとシャドーボクシングを始める、お前はマッドサイエンティストだろうが。
「さて、イヒヒ、案山子くんスケルトンの性能はどうなんだい?」
「ああ、レベルは俺と同じになるみたいだな」
レベル十一、PKでレベルが上がってしまった、てか経験値旨いな。
「ほほう、他には?」
「個別命令と全体命令があるな、全体は攻撃、防衛、移動くらいか、個別は……、お、そいつのスキルが使える」
「イヒッ、なんだい強すぎじゃないか」
「体力はゴミだけどな、俺のレベル依存か?」
「それはわからないね、ログアウトでどうなるかも気になるが、イヒヒ」
まあ消えるだろうな、強すぎだし。
「そういえばスワンは何をしてたんだ?」
「イヒヒ、レディに野暮な事を聞いちゃいけないね」
「そうか、す」
「逃げるPKがいたから尾行してたんだよ、ヒヒッ」
言うのかよ、てか俺を尾行してたのかよ。
「さいですか、楽しかったか?」
「イヒヒ、そうだねフレンドもできたよ」
はあ、楽しそうで何よりだ。
「んじゃスワン、今日はあとなんかするのか?」
「おや?こんな気持ち悪いボクから逃げないのかい?イヒヒ」
そんなネタキャラやってる楽しそうな奴から逃げるとか勿体無い、なかなか気の合う美人だしな。
「そりゃ、プロポーズ受けちまったからな」
「イヒヒ、末長く頼むよ、そうだねこれから案山子くんのクリエイトアンデッドの検証をしよう、何匹アンデッドにできるか気になるからね」
「いいのか?レベル上げとかでもいいぞ」
「検証してたら勝手に上がるよ、ほら彼らのドロップまであるじゃないか、山分けしよう」
死んだPKKからお金といくつかのアイテムが手に入っていた、プレイヤーを殺してアイテムを奪うのに抵抗はあるが、俺らPKは買い物など制限があるから有り難くいただこう。
まあ、こいつらはいきなり殺しに来たんだからあんまり罪悪感湧かないしな。
「PKしに行くとか言われなくてよかったよ」
「イヒヒ、たった二人と三匹じゃ戦力が足りないよ」
俺らは手近なウルフ系の魔物を狩る事になった、初級者御用達のレベル十前後のモンスターだ。
しかし数の暴力はエグい最初はスケルトンにガードさせてチマチマ倒していたんだがクリエイトアンデッドでウルフゾンビやらスケルトンウルフが増えるともう手に負えない、フィールドから魔物がいなくなるんじゃないかというペースで狩っている……GM来ないよな?
「イヒヒ、圧巻だね、ボクは寄生してるみたいに感じるよ」
「それくらい構わねえよ、しかし上限が見えねえな、一回数、数えるわ」
ちょっと物影に並べて見る、物影っつうか草むら?なんか一匹づつ潜伏させてるみたいだな、ウルフが百と一匹、スケルトンが五匹、どうやらウルフは俺のパーティー以外なら無差別に襲うみたいだ。
ウルフの大群に蹂躙された無関係なPCに合掌して見送った、悪気は無かったんだよ。
「イヒヒ、レベルはどうだい?」
「ああ、俺のレベルに統一されるな、なんか能力はそんなに変わんねえけど」
あと体力はやたら上がらない、まあそれもそのはず砕けたスケルトンが一分ほどでまた復活しやがった、仕様なんか知らんが実にエグい。
「イヒッ、まさにゾンビアタックが使えるんだいいじゃないか」
「そのかわり俺はアンデッド関連のスキルしか覚えねえがな」
レベルも二十を超えて、覚えたスキルがアンデッドボムにサモンアンデッド、あとネームドアンデッドなるよくわからんスキルだ。
「イヒヒ、案山子くん実はボク、クリエイトキメラなるスキルを覚えたんだがワンちゃんを使って試していいかな?」
名前からしてモンスター合成か?せっかく百一匹ワンちゃんだったんだがまあ、また集めたらいいか、ゾンビかスケルトンだが。
「いいぞ、俺を素材に使わないならな」
「おっとその手があったか、ダメかい?」
「止めろ」
釘を刺したつもりがいらん事を教えてしまった。
「イヒヒ残念だ、……おやボクらにお客さんみたいだよ」
「ん?……死んだかな俺」
「イヒヒ、ボクら生まれた時は違えど死ぬ時は同じだよ」
んな誓いした覚えねえよ、と、くだらないやり取りをしている間に俺らに接近する青ネームがだんだん読める距離になって来た。