第6話「ヒロイン交代説」
「「あ、あいつらぁぁぁ」」
あの相性のわるい俺とセラでさえ同じことを言った。
もうこんな適当な世界救わなくていいんじゃないですかねぇ······
あいつが作ったから世界だからある程度は覚悟していたつもりだったけど。
「ガシャーン」
いきなり奥の家が崩れ落ち、崩壊した。
「やった1家壊れたです、もう1家行くです〜もう1家ん〜」
なにその酔っ払いのノリ····
崩壊した家の陰から小さなツノをだし、出てきたのは可愛い少女だった。
「でかしたぞ、セリカ。 その調子でどんどん壊すのだ」
そう言われると娘は頷き、なんの悪気もない純粋な笑顔で答えた。
········可愛い
いやいや待て俺。
あの子止めなきゃまずいだろ。
このままじゃどんどん村が壊滅していくだろ。
けどなんだろう····もっと無邪気に壊してる姿を正直見ていたい。
「ちょっと、なにやってるのよ人がせっかくこの骨の攻撃止めてやってんのに、気持ちわるい顔であの子見てないでさっさと止めなさいよこのロリコン!」
「お····お前、今いけないことを言ったな! 俺は断じてロリコンではない、ただ無邪気に家を壊す姿が可愛いから眺めたいだけだ。 あれだあれ親の気持ち見たいなもんだ」
俺は必死に反論している中、アンデッドジジイの目から涙が溢れていた。
「人間にも彼女の可愛さがわかる奴がいたか、可愛いだろセリカは? お前も立派なロリコンだな」
「あのちょっと黙っててもらえます、セラが俺の顔見てまじで引いてるんで」
あいつ、泣いてるなら真顔やめろよ顔怖いわ。
ていうかどういう体の作りしてんだよ。
目玉あんのかあれ 。
どっから涙生み出してんだよ。
そんなことを考えていると
「ガシャアーン」
「やったであります」
ノコギリみたいなものを振り上げ少女が喜んでいる
······なんだ、やっぱ可愛いじゃねえよおい
「ちょカケル! 私もう限界なんですけど」
「頑張るんだ、セラあいつの相手にできるのお前しかいないんだ」
現状4人しかいませんので····
「ガシャアーン」
「あぁぁ、もう俺はとりあえず·····」
「ガシャアーン」
「あの子を止め」
「ガシャアーン」
「ちょ早くないですか壊すの? 匠より仕事早いよ」
俺はその子の方へ駆けと同時に
「やめろぉぉぉ、人間! その子に手を出すなぁぁ、プロテクトォォファイナルゥゥ」
なにかの呪文かアンデッドジジイが唱えると瞬く間に少女を取り囲むように白い魔法が現れた。
「ボォファァ」
次の瞬間、アンデッドジジイの口から大量の血を吐いた····
もうどこから生み出したかはツッコマない。
「なんだこれ、この子に近ずけない」
少女の周りに取り囲む白い魔法に触れると弾き返される。
「プ····プロテクトファイナルぅぅそ····それは自分の体力を削り使えることのできる最上級の防御魔法ぅ····娘には近づけさせない」
体力っていうか今血吐いたよね!
命に関わるよねそれ!
「娘だけは守る、娘·····だけはこの命に代えても」
なにこのサイコパスロリコンジジイ。
むしろあそこまでいくとかっこいい。
いや、まてよもしかしてこのジジイ、強いと思っていたが······
「セラもういいぞ、あとは俺がやる」
俺はセラに近かずきドヤ顔で言った。
「なに言ってんのよ、いくら血吐いたってまだピンピンしてるわよ」
「大丈夫だ、問題ない」
俺はにたにたと笑みをこぼしながら言った。
それもそうだ、もうあいつの勝ち方がわかったから。
「あんたほんとに大丈夫なんでしょうね」
首をかしげながら不安そうに聞いてくる
「心配するな、それよりちょっと耳かせ」
耳元で一つだけ作戦を伝えた。
「え、それだけでいいの!? ていうかあんた考えること最低ね」
名案を思いついたにもかかわらず、ゴミを見る目で俺の顔を見てくる。
どんな方法でも使い勝たなければ俺たちが殺されるのないのだから仕方ないだろう。
「じゃ行くぞ」
「はぁ、わかったよ」
セラがひとつため息をつくと、俺とセラは二手に分かれ、セラはアンデッドジジイ、俺は少女の方に駆け出した。
「どうした腰抜けども早くかかってこい」
──うっせー!ジジイ
俺は娘から10メートルぐらいの近くで立ち止まり、地面に落ちている石を拾い上げアンデッドジジイに見せた。
「おーいおじいちゃーん。 これなぁーに、かなぁー········そいやっさぁぁ」
その石を出来るだけ軽く下投げで娘に目掛けて投げた。
「ん? えーと······うぇぇちょっとまってぇぇまずいってまずいって私の可愛いセリカが傷つくまずいってまずいってまずいってまずいってプロテクトファイナル!」
クールなキャラから一変ほぼキャラ崩壊し、もはや誰か分からないが読み通りあの魔法を使ったきた。
「ヴォファァァ」
おなじみのように牛乳ビン1本分ぐらいの量の血は吐いている。
「いまだ、セラ!」
「うぉぉぉりゃぁぁぁ、しねぇぇぇぇ」
すかさずジジイの腹部に剣が突き刺した。
そう、俺がさっきセラに耳打ちした内容は「あのジジイが血を吐いたら剣で突き刺せ」という非常にシンプルなものだ。
つまり、娘に近づいただけであの技使うんだったら石なんぞ投げたらすぐにあの技を使い吐血する時に攻撃したらさすがに勝つだろうという最強の作戦ってわけだ。
「うぉ」
ひるんでいる様子だが、どうやら致命傷にはなっていなさそうだ。
「ちっ、あれだけ食らってまだ倒れねぇのかよ だんだんこっちが悪役になってきてるじゃねぇかよ 」
内心もう早く終わらせたいと思いながら、ふたたび足元の石を拾い少女の方へ向く。
「あれ? 」
気がつくとそこには少女の姿がない。
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「ちょっとあんたそこどきなさいよ、どかないとあなたから切るわよ」
「やだ! 」
「お、セリカよ 危ないから下がっていなさい·····プロテクト······ファイナルグファァァ」
なにやってんのぉぉあいつらぁぁ!
あの子、おじいちゃんかばってるよ。
なにこの状況····
完全に俺ら敵キャラじゃないですか!
ていうか、もうジジイ死にかけ5秒前なんですけど。
さらに血吐いたんですけど!
辺り一帯、血の海なんですけど!
「もういいわかったわ、あんたから先に切ってあげる」
そういうと無情にもセラは少女に向かって剣を振り上げだ。
「やめろぉぉぉ」
もうプロテクトファイナルは打てないのかジジイは涙を流しながらただ唸ってだけである
娘の周りのプロテクトファイナルの効果はセラが近づいた時点で切れている。
プロテクトファイナル····効率悪すぎだろ····
そんなハデスをお構いなしに、セラは少女に剣を振り下ろす。
「やめてくれぇぇ」
「待ておらぉぉ」
俺はセラにドロップキックをかまし、
セラは数メートル吹っ飛んで行った····
続きは深夜に投稿予定です。