第4話「実は俺、選ばれし者だったそうです」
「ほうほう、なるほどなるほど。 つまり何? 俺はあのアホ神に、はじめは安全な所に転送されると言われて、たったの五分で、すでに死刑宣告されているわけですか····」
俺は、忘れていた記憶を取り戻し冷静に自分の置かれている状況を整理した。
「舐めんなぁぁぁぁ」
美少女のことを忘れ。
どこかにいるアホ神に届くぐらいの勢いで叫んだ。
「あのー」
「え、なに?」
アホ神へのストレスのせいか反射的に素っ気ない対応を取ってしまった。
「さっきまで私が怒ってたはずなのに、なにさっきから意味わからないこと発狂して怒ってるの?」
そうだ、完全にこの子のこと忘れていた。
というか完全に空気だった。
········まずい、どう切り抜ければ。
ダッシュで逃走いやここは王城、警備員なんて無数にいるはずだ、ここは····
「誠にすいませんでしたーー」
いきなりの全力土下座に美少女は呆気にとられ、ぽかんとしたがここは誠心誠意の土下座をするしか、俺の選択肢はなかった。
「いきなり土下座っていったいどういう風の吹き回しよ」
「いやこれに関しては全部アホ····いや俺が悪い、俺が····俺が······ん?俺っていったいなにしたっけ? 」
「はぁ? 」
自分でも罪がわからなくなり、美少女に聞いてしまった。
よく考えればなにも俺に落ち度はない。
悪いことをとくにしていないが、悪いことをさがしているという意味のわからない自分がいるが······
よく考えても出てこない。
強いて言うならたけのこを写真で撮ったぐらいだ。
て言うか、よく考えたら全部あのアホ神のせいである。
「姫!」
いきなり、武装した男が大騒ぎで部屋に入ってきた。
「なに?今大事な話が」
はずらわしそうに姫が答える。
「近くの村に悪魔軍が攻めてきています。今すぐ応援を」
「あぁゴホンゴホン私ちょっと今日風邪で喉痛いのよ」
姫はわざと声をかすらせながら答えた。
「了解いたしましたでは、ではあの村は放置で」
「おいぃぃぃ、なにその学校をずる休みする。 子供みたいな言い訳は! て言うかなんですぐ帰ろうとするかな顔的に風邪じゃないのわかるよね? 挙げ句の果てには、村放置っすかみんな死ぬよ」
そういうと、武装した男は手に持っている槍を俺に向け
「貴様なにわけのわからないことを言っている、姫様が風邪だとおっしゃってるんだから風邪に決まってる、だいたい貴様姫様の部屋でなにしてる」
「土下座してます」
俺は見てわからないかと言わんばかりに即答した。
「そういうプレイか、そうなんだろ、なんで······なんで貴様なんかが羨ましいではないか」
「おい。今あいつ羨ましいって言ったぞ」
と言うか、表情が完全に羨ましがっている。
姫様の表情は一変し、完全に引いてるのがわかった。
「とにかく、風邪でなければ大至急きてください。私共だけではとうてい歯が立ちませんから」
そういうと男は、躓きながら急いで部屋から出て行った。
······あいつ逃げたな
「どうすんだよ、てか速く助けに行ってやれよ」
「えーめんどくさい、代わりにあんたが入ってきてよ、いちよう私この国最強とか言われてるけど太陽にあたったら死ぬのよて言うかもう近くの村まで敵きてるんだからここも時間の問題よ」
そういうと、姫はベットに寝っ転がった。
まずい、こいつ本気で行かない気だ。
「ん? ちょっとまてお前今、この国最強って言ったか?」
「いちようね〜他のみんなが雑魚すぎるのよ」
まじか、まだ全然可能性があるじゃないか。
「ちょ、なにするのよ」
俺は姫の首を鷲掴み、引きずりながら部屋を後にした。
「待ちなさいあんた本気で死刑にするわよ」
姫は怒りながら首筋に掴みかかってきた。
「俺は一刻も速く邪神軍滅ぼして地球に帰りたいんだよ」
反論すると、彼女は顔色を変え、ニコニコと笑顔で言った。
「あぁやっぱりですかぁ〜、一目見たときからあなたは只者ではないと思っていましたよぉ」
「え、なんの話?」
「だってあなたってぇ、この世界を救うために地球来てくれた、選ばれしものでしょ」
「····は?」