第2話「カメラって写した物を消す、ホラーチックアイテムだったの? 」
「いや、どういうことぉぉぉ」
思わずこの状況の意味のわからなさに頭が混乱しそうになったが、
一旦落ちつけ俺。
何で、カメラがタケノコに混じり映えていたのだ?
カメラって実は映えてくるのか?
······そんな訳は無い。
誰かの悪戯ではないかと周りを疑ったが特にそうゆう訳でもない。
もしかして、あのおじいちゃんのトラップ?
内心俺を迷惑してて、その腹いせで····
ちっちゃ。 小学生かよ!
だとしてもなんで、カメラ?
もしかして、カメラ専門店の社長で腐るほどカメラもて余してるとか····
ま、そんなことあるわけないけど····
ところでこのカメラ、無知の俺が見てもとても高そうである。
全体の色は、まるでブラックホールを彷彿とさせる一点の曇もない黒色。
見た感じ、壊れている部分はなくまだまだ使うことが出来そうなカメラだ。
あと種類は一眼レフ?
カメラの種類なんてまったくわからないが、高そうなカメラはすべて一眼レフというなぞの法則がある人は少なからずいるだろう。
俺もその系統だ。
都会の高校へ進学したとはいえ、田舎生まれ田舎暮らしの俺からしてはこの代物は珍しい。
····どうしよう、超使ってみたい?
無性になにかを撮ってみたいと思った。
なにせ本物のカメラで写真を撮ったこと何て指で数えるくらいあるだろうか?
まず触ったことがあるかすら怪しい····
子供の頃から山や川と遊びまくっていたが、機械というのは全くもってわからない。
もとわといえば、こいつに転ばされたのだし、一、二枚撮っても罰は当たらない。
そう思い俺はおぼつかない様子でカメラを構え、ついているボタンを押しまくった。
パッシャリと眩しくフラッシュを焚きながら生まれて初めて写真を撮ることに成功した。
「ウォォォォ、すげぇぇぇ──て、えぇぇぇぇ」
俺は思わずふたつの意味で叫んでしまった。
一つは上手く撮影できたことによる歓喜の叫びと───
二つ目は、今撮影したタケノコが突如消えたことによる驚きの叫びだ。
自分でも正直何ってるかわからない。
こんな話信じる方が馬鹿らしいだが、消えた。
何かの見間違いかと思い周りのタケノコをすべて撮影した。
すると─────
なんとゆうことでしょう!
あのbgmが脳内に過ぎった。
あれほど足場が悪く映えていたタケノコがカメラの手によって今はもうこんなにも平にな····
「じゃねーだろおい!」
驚きすぎて1人でつっこんでしまった。
俺が知らなかっただけなのか?
カメラって撮影したら写したものが消える、そんなホラーチックアイテムだったのか?
消えるのが当たり前なのか?
そんなはずねーよ!
あ、そうだこれは夢だ!
そうだ夢に違いない!
これ完全に夢オチコースで、もうすぐ俺起きるわー·····
もう目覚ましなるわぁ·····
そういや、この前目覚まし時計うるさくて投げ飛ばしたっけ····
新しいめざましどんな音が出るんだろうなあ····はは
ほぼ現実逃避気味に俺は、この気味の悪いカメラを思いっきり投げた。
疲れているせいか、動揺しているせいか思いのほか遠くに飛ばす近くの竹にぶつかり、レンズがこちらを向きながら落下していくのが最後に見えた光景だった。
次の瞬間、俺の視界には薄暗く静かな竹やぶから、一変まるで天国のような真っ白な空間に飛ばされた。
この日俺のどうしようもない変凡な日常生活が終わった────