第1話 「地球生活、最後の日」
俺はどこにでもいる普通の高校生1年生。
だが、ラノベとかの設定でよくある普通とは訳が違う。
学力·····学年順位354人中177位!
全国模試順位3568人中1784位!
いつも、カラオケ行ったらほぼ75点!
彼女いない歴6年
などなど·······
そこらのただの! 普通名乗りの一般ピーポーとは、ひと味もふた味も違う。 唯一無二の普通高校生だ!
逆にここまで行くと清々しいものだ。
そして俺の名前は····如月 駈··········
何でだよ!
なんで俺の苗字はいっつも憧れる名字ランキングで上位に入ってるんだよ! ここまで普通で塗り固められてるのに。もうちょっと田中とか山本とかあっただろ! ありがとよ親父!
そんな無駄なことを考えながら、いつもの電車に乗り地元の田舎に帰っている。
今は、訳あって田舎から離れた都会の高校へ通っている。
もちろん金などないから実家暮らしだ····
正直早く、あのド田舎から自立して一人暮らししたい。
もう二時間近く経ったのではないだろうか··
さっきまで一緒に帰っていた友達も途中で降り、俺ほど電車に揺られる生徒は俺の知る限りあの学校はいない。
学生からしてはこの距離は遠く毎日がしんどい。
こんな生活、普通なら鬱になってもおかしくないがある趣味があるからなんとか毎日かろうじて生きられる。
それは二次元だ!
俺は、巷でいわれる二次元オタクってやつだ!
自分の三次元は腐っているが、二次元にはロマンしかない。
友達に進められるまで、二次元なにそれ? おいしいの? レベルだったが
今では、そのロマンとやらを2時間は語れるだろう。
生まれる次元間違えたかな······
「はるか村~はるか村~」
しばらくすると、車掌の野太い声が聞こえる。
子供の頃から聞きなれたこの声にいつも安心する。
聞き覚えのある駅、地元の駅だ。
あとずっと思っているが、はるか村ってなんだよ。名をつけたやつはどんなメーニングセンスしてんだよ。
はるか彼方にある村、訳してはるか村とバカにしているのか? ····実際、合ってるけど
──それはいくら何でも考えすぎか····
プシューと金属音を鳴らしながら空いたドアからひときわボロい駅に降りた。
駅を出て、すぐの道なりに沿ってまっすぐ歩いていけばいずれ家に着く。
だがそんな時間が掛かりしんどい道は通らない。
明らかに前の竹やぶを横切った方が早くつく。
不法侵入?──そんなの関係ない!
この村にそんな小さなことで都会やネット社会みたく、グチグチゆう人は誰もいない。
この前無断で横切っている時、所有者であるお爺ちゃん見つかった時も
「やぁ。 学校の帰りかい? 毎日頑張ってるねぇ そうだ、うちで取れたタケノコ持って帰るかい?」
流石に怒られると思ったがこの反応──
うーん·····
おじいちゃんマジ神! 神対応とはおじいちゃんのことを言うだろう。
そうゆう訳で有難く今日も横切らせてもらうよおじいちゃん!
そう心の中で深く感謝しながら今日も同じ竹やぶに、堂々と不法侵入する。
中に入ると、そこは竹のせいで薄暗く気味が悪い空間が広がっている。
毎日思うが、この気味悪いのはどうにかならないものかな····
立場上、文句を言ってはいけないと思うが····
「はぁ」と小さくため息をこぼし、早くこの竹やぶを抜けようと小走りで駆け抜けると、
「ドサッ」という鈍い音とともに口の中には土の味が広がった。
それは見事までに綺麗なヘッドスライディングだっだ。
よく考えてみれば、ごく自然なことである。
季節は春··そしてここは竹やぶ··回りには無数の小さなタケノコが地面から顔を出している。
これだけの数、足元を見ずに走れば誰だって転ぶ。
立ち上がり俺は足元を見て驚いた。
タケノコに転んだと思っていたが、全くタケノコとは似つかない形をした物体につまずいていた。
土の中にも埋まっている部分もあるようだが、それはタケノコにしては光沢感のある黒い色をしており、長太く人の手が入ったような綺麗な筒型だった。
俺はそれを掘り起こし手に持ち確信した、カメラだった。
つまり俺がつまずいた、地上に出ていた部分はカメラのズームレンズだった····