エロから始める、なろう性活 〜お色気表現の限界と、あんちゃんの呪いについて〜
こんなエッセイも、ついに第六弾。今回もよろしくお願い致します。
そして、今回のテーマは性的表現……
今や少年誌でもシャワーシーンはおろか、ベッドシーンまで描かれるような時代。果ては袋とじまで組み込まれ、話題になりました。
読者層の平均が上がっているというのも起因しているそうですね。コアターゲットが、三十台中心に移ってきているのだとか。
かつての少年が、大人になっても継続して購読しているということか……
いや。それって最早、少年誌じゃねーだろ。中年誌だとツッコむのは野暮なのか?
少○隊がいつまでも少年であるように。キンキがいつまでもキッズであるように、開けてはならない禁断の扉というわけだな。
禁断の扉といえば、そろそろ、この私の体を蝕み続ける、ある呪いについて話しておく頃合かもしれない。
私も長編物を書き始め、現在二作目。その呪いは、一作目である「斬魔剣エクスブラッド」の執筆中に訪れた。
第一章が無事完結。しかし、アクセスや評価が思ったほど伸びない。そして私は考える。
「そうか……異世界ハーレムが流行っているのなら、エロに対する需要はあるはず……俺の作品には、それが全く足りないんだ!!」
確かに第一章の初稿は、かなり健全な作風でした。これの原型となった処女作など、ヒロインはおろか、女性キャラがほぼいないという、かなり偏った傾向の作品。
しかし今となっては、この英断こそが間違いだったのではないだろうかという疑念。だが、当時の私は人気を求めて必死です。
第二章から、エロ姐さんキャラを爆撃投入。反響は上々。一人ほくそ笑む。
私の作風を真似ていた他のユーザーさんのローファンタジー長編にも、なぜか似たようなキャラが出現。こいつもエロイ。
「つーかパクるんじゃねーよ。文章表現まで真似てきやがって、このヤローが!」
あ。つい、当時の心理が声となって出てしまいました。失礼。
いや。単純にそちらの作品の方が人気があったもので、勝手に敵対視していたのです。
そして、どこで道を間違えてしまったのか。いや、私にかけられた呪いは徐々に強さを増していたのです。暴走した挙げ句、性的表現の限界に挑むという、新たな境地を切り拓いてしまうとは……
そんな私の前に姿を現したのは、天使か悪魔か。
いや。ただの人間だ。
良く見るとそれは、あのクリーニング店のあんちゃんでした。ロン毛にキャップをかぶった有名人です。
歯を剥き出した爽やかな笑顔で、その人は告げたのです。
「そこに、エロはあんのかい?」
あんちゃんの声に導かれるまま、限界ギリギリじゃないかという所まで攻め続けました。
運営からは特に注意も何もなし。それ以前に、こんな底辺作品に気付いていないだけか。
そんなこんなで一作目は2015年に無事完結。今は、序盤の数話を書き直したものを再投稿している真っ最中です。
そしてお次は、それをセルフ・オマージュした次作、「竜の力を宿した俺が、美人魔導師に敵わない」。こちらに着手。
いや。さすがに改心すればいいものを、ところがどっこい、セルフ・オマージュです。余計な所までオマージュしています。
「うん。とりあえず、エロも入れとこう。っていうか、外せないよね……あんちゃんも言っていることだし、やるしかないよね?」
私の脳内で、あんちゃんが激しく暴れるのです。抵抗すれば命を奪われかねません。
そうなんです。今までのことは全て、あんちゃんの呪いだったのです。今や、お色気ネタをぶっ込むことを楽しんでいる私がいます。暴走が止まらない。
そして、こんなことばかりしているから、なろうを知らない知人や友人には絶対に見せられない。知られたくもない。
自らが辿ってきた軌跡を振り返る。するとそこには、なぜかエロがいる……
「そこまでして、人気が欲しいのか?」
あんちゃんは困ったような顔で、私に問い掛けます。
呪いをかけているのは、あんただというのに。
「人気? 欲しいに決まってんだろうが! だからこそ、投稿サイトにまで露出させてるんだろうが! 見られてナンボなんだよ!」
いつか運営から警告を受けるその日まで、私は、あんちゃんの呪いに苛まれ続けながら執筆を続けることだろう。
そして、警告を受けた暁には、ユーザーネームを“槍杉ヒロ”と改名するに違いない。
そんな日が来ないことを切に願うばかりだ。