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元神様たちの放浪記(休止中)  作者: 辛味噌
第2章 基盤を整える事と冒険者としての教育
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閑話 ある商人の思い

内容的には42~43話の間?


 武人と見紛うような一人の美丈夫と幼いながらも美しい娘が部屋を出ていき控えていた部下にあれこれと指示を出し部下も出ていくと私だけとなる。


「やはり私の事は分かりませんでしたか…………。ヴァルザス殿にメフィリア殿……。我ら一同はあなた方がどこかで新たな生を受けているかもしれないと信じて待っていました。終末戦争で崩壊する世界から我々や様々な生物を逃がすことに尽力したからこそ、今の我々が存在出来るわけで、巡り合えたら必ず恩を返そうと皆で話し合ったのですよ」

 そう独り言ちた。

「ファリド様。あのような一方的な契約を行なって何を成さりたいのか不肖な私にはわかりません」

 いつの間にか側に一人の青年が立っている。私の目となる存在だ。

「ファリドの名は出さないようにと言ったはずです。今の私はマネイナ商会の会頭にして、ここローゼンテリア王国の準男爵(バロネット)に過ぎません」

「失礼いたしました。ですが所詮は過去の恩人でしょう?」

「その過去の恩がなければ、私も貴方も存在しなかったのですから、やはり感謝すべきでしょう」

「…………」

 青年……ランドは押し黙る。使徒としては主である私が人族を敬うという行為が気に入らないのでしょうが、ここは主を立てて欲しいモノです。

「商会を潰してまで何かをしようとは思いませんよ。ただ彼らにも安息も必要でしょう」

 どのみち私は商業の神ファリドの分身体(エインヘイル)であるからして、私には商い以外の事は大したことは出来ません。私たち中立勢の神々の分身体(エインヘイル)が一致協力してあの方たちを見守り、影ながらこっそりとあの方たちの平穏を守ることに尽力を尽くすことが恩返しでしょうか?


 ただ問題は光と闇の陣営の成れの果ての動向ですか…………。

 特に光の陣営は悪質で早急に対処しなければなりませんね。

「しかし光の陣営はどの神が光の神アバタールの振りをしているのでしょうね」

「アバタール自身は終末戦争の折にヴァルザスに打ち倒されて人族に劣化転生したんですよね?」

「多くの力を失い今の神聖皇帝は精々人族の英雄程度でしょう。数えきれないほどの転生を繰り返し記憶などもかなり劣化してる筈なのですが、メフィリア殿に対する妄執だけは凄いようですが……」

 もう少し情報が欲しいですね。

「ランド。済まないけど、神聖帝国に潜り込んで欲しいのです」

「神聖皇帝の秘密を探ってくればいいのですね?」

「そうです。お願いしますね」

 ランドの気配が消える。私一人となった。


 黒の陣営に関しては、皆に相談しないと決めかねる部分が多い。黒の神は男神であり女神であってたがどちらもヴァルザス殿に懸想していた。潜在的にはヴァルザス殿の味方だろうが、あの自由奔放ぶりは何を為出かすか判らないだけに扱いに困る陣営でもある。歪んだ愛情の持ち主でもあるし心配の種は尽きない。



 ラグー河中洲の邸宅を前にて、

「うちのお嬢さん方が我儘いって随分工期を遅らせてしまったようだが、大丈夫なのか?」

 隣に立ち完成した邸宅を眺める美丈夫が要らぬ心配をする。

「問題ありませんよ。この後は港湾設備やら雑多な建築物の施工だけですし、練成魔術師が居ますのでいくらでも遅れは取り戻せますよ」

 後は邸宅周りの庭の造成や、こちらが契約の際に要望した建造物だけなので工期などあってないようなものなのである。


「あの2人の件だが……」

 そう言ってヴァルザス殿は少し離れた所にいる男女を見る。

「何の問題もありませんよ。彼らの処遇は正規の手続きで処理も終わっています。なんら恥じる事はありません」

「そうか。彼らの研究成果は逐一報告したほうがいいのか?」

 首を振り、

「いえ、直ぐに成果は出ないでしょうし2年ほどは試行錯誤してもらいましょう」

「そうか」

 そう言うと何やら考え込み始めた。


 帰り際にヴァルザス殿が唐突にこんな事を言った。

「ところでファリドは、なんでここまで善処してくれるんだ?メフィリアの為か?」

「へ?」

 思わずマヌケな声を発してしまった。どこでバレました?神威を封じていたはずですから気が付かれる筈が…………。

「いつから気が付いていたのですか?」

「疑い始めたのは初めて逢った時だな。メフィリアは気が付かなかったようだが、僅かに神威が漏れていた。後は一介の冒険者であるはずの俺に対する対応とか疑い始めたら、たまたまこの間、遺跡で黒の陣営の分身体(エインヘイル)と遭遇して確信に至ったよ」

「そうでしたか……。また、かつての様に貴方の事を友と呼んでも良いのでしょうか?」

「マネイナ商会の会頭と言う仮面が必要のないところでならいくらでも」

 ヴァルザス殿は思い出したように、

「そうだ。この中洲なんだがまさかと思うが俺らの安住の地にでもとか思っていないか?」

 そこまでバレていますか……。

「友として言わせてもらえれば、戦士にも休息は必要です。もっともメフィリア殿のシンパからの強い要望だったのも事実なのですが……」

「俺らは時期が来れば昇格(プロモーション)を考えている」

 また再び神の領域に来ようと言うのですか。

「ほら、人族のままじゃ度々転生が必要だし、その度に探し回るのも面倒だろ?」

 メフィリア殿と永遠に添い遂げる為ですか。


「そうだ。他の神々の分身体(エインヘイル)達も何時か貴方達に逢って礼を言いたいとのことでした。今日は視察目的ですし帰ります。またかつての様に酒を酌み交わしたいものですね」

 そう言ってヴァルザス殿と別れた。



「ファリド様」

 執務室で書類を読んでいると、ランドがいつの間にか側にいた。

「戻りましたか。成果の程は?」

 ランドからの報告は白の陣営の悪質振りをより一層感じさせるものだった。

「戦士にも休息は必要といいましたが、彼らには休息は早いようですね……困ったものです。これは神族会議を開催を打診しますか」



 後日、ヴァルザスとの契約書に一文が追加された。

 商会の都合により[任意で補充人員を送る]という内容である。




43話は多分土曜日には投稿できると思います。

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