勇者、暁なんか一回もでてこなかったね!
記録一、海底魔城より。
「ふはははは! この私が暗黒ポセイドンと言われた、ネプ・カーン様だ!」
五分後。
「ぐえっぷぅううううう!」
ネプ・カーン勇者一行に三枚に下ろされてしまいました。
記録二、天空魔城より。
「この俺がぁ! エアーオウ様だぁああああ!」
十分後。
「ぬぐろびえええええええ!!」
エアーオウは天空大陸から地上に叩き落されてしまいました。
記録三、幻影魔城より。
「私こそ、四天王最強の……!」
一秒後。
「あぐあっへえええええええええ!!」
即死魔法であっさり倒されてしまいました。
というように、なんともあっさりと四天王は全員倒されてしまいました。ええ、勇者一行は大変強力になっております。奴らはついこの間、チャメ・ワヨイに苦戦したことがまるで嘘のように破竹の勢いでぶっ倒して行きました。この、ジョビーノ・ガネーメも眼鏡の度を疑いましたよ、ええ。
『勇者の生態その二十。勇者はたいてい最初しか苦戦しない』
さて、勇者一行は町で聞き込みをしています。肝心の魔王城に行くためには大鏡のかけらを集めなくてはなりませんが、勇者たちはそのありかを知る由もありません。なぜかって、この広大な世界で一体どの人がその情報を持っていて、その人がどの町にいるのか、心当たりもないことでしょう。
「え? 大鏡のかけら……? そうねぇ、確かあの滝の裏に……」
「大鏡のかけらとは、なんとも懐かしい……。あの山の頂上にある神殿に……」
「大鏡のかけらといやあ、昔、ガキの頃に裏の森に秘密基地を作ったときに……」
「大鏡のかけらなら百万ゴールドで……」
勇者一行はあっさりと大鏡のかけらをすべて集めてしまいました。
『勇者の生態二十一。勇者の情報網は異常』
なんであんなに的確に集めることができるのだろうか……? そんな風に思っていると勇者たちは大鏡を使って魔王城へと赴こうとしています。あ、ちなみに、今は女戦士が離脱して、女格闘家が加入しています。理由は……お察しください。
「……魔王様。お読みいただけたでしょうか?」
「うむ。で、奴らは今どこにいる?」
「もう、この部屋の前まで来ています」
「なんじゃとーーーっ!! な、なんで足止めをしようとせんのじゃっ!? っくー、これからお昼ご飯を食べようと思っておったのにー……」
こつこつ、と奥の王座から魔王様が歩いてくる足音がする。ついに、ついに魔王様が動かれる。私は固唾をのんだ。……しかし、動くのが明らかに遅すぎでは?
『魔王の生態その六。魔王城に勇者たちが来て初めて動くのが魔王』
勇者一行は、魔王様の謁見の間の扉の前に居ました。
「この扉、どうすれば開くのでしょう?」
開かない扉を前に、頭を悩ます勇者達。そこに声が響く。
「ふはははは! よくぞこの魔王城へと来てくれた。早速、最上のおもてなしをしてくれよう!」
魔王様の声です。魔王様がそう告げると、勇者一行の周りに禍々しい気がまとわりつきました。そして、彼らが悲鳴を上げる間もなく石になってしまいました。
「ふははは! これでよし! もう悩む必要はないぞ」
「……」
私は口をぽかんと口を開けて唖然としていました。
「あの、こんなことできたんですか?」
「おうとも! 人間なんぞには後れを取らん。普通の魔法ではなく、特別な魔法が使えての魔王だからな! ふはははは!!」
「魔王様……意外と、お強いですね」
『魔王の生態その七。魔王様、そう呼ばれるには理由がある』
それから、七年の時が流れた……。
「魔王様、次は何をなさいますか?」
「そうじゃのう。パッフェとやらが食べたいぞ!」
「では……」
魔王城はとてもとても平和でした。しかし、その平和を劈く一大事が怒ってしまいました。
「魔王様、大変です!」
「どうしたのじゃ、ジョビーノ!?」
「勇者たちの像の前に人間たちがいます!」
「なんじゃと!? どれどれ」
勇者達を置いてある謁見の間の正面に、四人の人間がいました。魔王様は問答無用で例の石化魔法を唱えました。
「きええええい!」
黒々とした禍々しいオーラが彼らを包もうとするが、そのオーラが突如現れた光によって消し飛ばされた。
「な、なんじゃとおおおお!?」
「あ、あいつらは一体……」
しかも、勇者たちの石化も解かれていた。勇者らに抱き着くのは二人の子供。どこか勇者に似ているよう……な……。
「ま、まさか!?」
私はしっかりとその子供と、残りの二人を見定めた。あの二人は、女僧侶と、女剣士! まさか、あの二人と勇者との間の子供でしょうか!?
『勇者の生態その二十二。なんやかんやで子供が助けに来てくれる』
勇者達が感動の再開も間もなく、魔王様の謁見の間に現れる。
「ふはははは! ついにやって来たな! では、この私の姿を拝見させてやろう!」
ついに、ついに魔王のお姿が……
「長い金髪に! 小さい身長! そして、起伏のない体! そう! 儂は実はとても幼い少女の風貌をしているのだぁあああああ!」
『魔王の生態その八。魔王はロリババア』
「どうだ! 驚いたか!」
しかし、勇者一行は大して反応を示してはいなかった。
「なぜぇええ!? もしや、知っておったのか!?」
勇者はうなずいた。
『勇者の生態その二十三。勇者の情報網は、やばい』
「くそう! こうなったらお前たちを倒せてやる!」
魔王と勇者の戦いが始まった。しかし、魔王の魔王はすべて勇者達にはもう効かなかった。魔王はあっさり倒された。
『勇者の生態その二十四。なぜだか魔王の弱点を知っている。勇者の情報網は一体どこからくるのやら』
「くぅ! こんなにこけにされたのは初めてじゃ! こうなったら、真の姿を見せてやる!」
魔王が力むと、見るもおぞましい姿になった。
『魔王の生態その九。大体第二形態がありますよね』
「ふははは! 今度こそ驚いたろう!」
勇者たちは驚かなかった。
「もう、ぶっ倒してやる!」
魔王様は渾身の力で勇者を倒そうとする。しかし、勇者が呪文を唱えると、あっさり倒されてしまった。
「な、なぜ儂の弱点の呪文を知っておるのだぁあああああ」
魔王様は、なんともまぁあっけなく倒されてしまいました。
『勇者の生態その二十五。勇者はめちゃくちゃ魔王に対して対策を講じている。基本魔王は負ける』
こうして、世界に平和がもたらされてしまいました。私たち魔族にとっては酷く住みづらい世界です。
「くそぉ。儂が負けるとは……ジョビーノ、何か策は無いかぁ?」
ぼろぼろの魔王様を背負いながら、私は道なき荒野を歩いていました。
「そうですねぇ。じゃあ、私が倒しますよ」
「なんと! 儂でも倒せなかったのに、お前に倒せるものか!?」
「魔王様。大魔神コーン・タクトって知ってますか?」
「おお、あの史上最強の大魔神様じゃな? もちろんじゃ!」
私は眼鏡を外す。
「それ、私です」
「な、なにぃいいいいいいい! なぜ黙っておった! ってかお前のその眼鏡取った顔めっちゃ見たことあるうううう! 城の壁とかに飾ってあったあああああ!」
「そうでしょう?」
「ぐぬぅ。なぜ前は手伝ってくれなんだ……」
魔王様は、いじけました。それがちょっと可愛らしくて、魔王様にいじわるをしたかいがあったなぁ、なんて思いました。
『魔王の生態その十。魔王よりも強い魔物は、ざらにいるぞ!』
どうも、作者です。ここまでご覧いただき、誠にありがとうございました。無事最後までかけて感謝感激雨あられにございます。ええ、ほんとに読んでいただいた方はありがとうございますですよ、中途半端に一か月も投稿しなかったりしたんだけども、無事最後です。実は早いうちに全部話はできていて気晴らしに書こうかな、ぐらいに思っていたんだけども、本読んだりするとついつい書くのをためらっちゃって投稿が遅くなってただけですがね。作品を通して、ずいぶんと適当なスタイルでやったなぁ、というのを反省しています。もうこの回とか会話がほとんどだし、描写とかほぼないし、多分誤字いっぱいあるしで。それでも久しぶりに連載、という投稿方法をやってみてやっぱり難しいなぁ、とは感じつつも、どれだけ読んでくれるのかな、という楽しみはありました。それもついこの間結果として分かった分がほんのちょっとあっただけなんだけども。また、こういう感じでただ単に思いついたものを形にするだけの小説もノリで書いてみたいな、と思ってはいます。が、当分はまた別の形で違う作品を投稿してみたいと思っています。どうしても文章がちっともうまくならん、という思いを胸に秘めながら、実はもう一つの連載作品も執筆しております。いづれ投稿します。あ、そんなのここじゃ関係ないか(笑)
この作品について、魔王がロリだったらなんかすっごい嬉しいよね。っていう思いと、勇者って基本ハーレムパーティだけど、手を出さないのっておかしいよね、という疑問から生まれた作品なんですよね。そこから、ああ、ドラクエとかこういうのあるあるだよな~。っていうネタを書き込んでいたらせっかくだし形にしてみよう、というノリでやってみたんですよね。一部あるあるですらなっていないのもありますけれど(^_^;)
そうこうしているうちに最期まできちんとできました。最後の方投げやりとか言っちゃだめよ?
最期に、ここまで読んでくださった方本当にありがとうございました。長ったらしいあとがきも含めて、重ねて感謝申し上げます。また、いつか機会があれば、違う作品で出会いましょう。では、さようなら。




