勇者、暁の時間まで頑張る!!
勇者は目的地、城下町ロウエーシに到着した。私、ジョビーノ・ガネーメも人間に変装して後を追う。勇者は街に入るやいなや、直行で城へ向かった。
「この先は城だ!」
「国王様はとても優秀な方だ!」
桟橋を渡った先にいる城の門番たちは、そんなどうでもいいことを言って、城内へと入ろうとする勇者を止めることもせず、荷物検査もせずに素通りさせた。私達は彼が勇者だと知っているが、門番たちから見れば、彼はただの旅人なはずだ。なぜこうもあっさりと通すのだろう。魔王の刺客や、隣国からの密偵の可能性もあろうというのに……なんとも平和ボケした国だろうか。
『勇者の生態その十。勇者はえらく容易に王様に謁見することができる。にじみ出るいい人そうなオーラがそうさせるのか、それとも勇者っぽい雰囲気があるのか、私は人間ではないのでわからない』
さて、勇者が城からお金の入った布袋を引っ提げて次に向かったのは酒場。どうやら、仲間を集うらしい。それにしても、なぜ酒場=仲間集めなのか。旅人が総じて酒場に集うとは限らないだろうに。いや、むしろ旅人が集うのは宿屋なはずだから、宿屋で仲間集めをすればよいのでは? 謎が深まるばかりだ。
『勇者の生態その十一。勇者は酒場で仲間を集める。なぜ酒場なのかは不明。人間が大層な酒好きだからかもしれない』
長い時間をかけ、勇者がやっとのこと酒場から出てきた。どうやら仲間を引き連れているようだ。仲間の特徴は以下のようだった。
一人目、一体そんな体積の鎧でどれだけの攻撃から身を守れるのか教えてほしいビキニアーマーを身にまとった若い女剣士。腰に携えた県は鋼の剣のようだ。べろんべろんに酔っぱらっていて、勇者の右腕に体重をかけて縋り付いており、足はほとんど動いておらず、勇者に引きずられているようだ。
二人目、色鮮やかな全身タイツの上に修道着を纏うという独特のセンスをした若い女僧侶。恢復魔法が得意そうなたれ目の優しそうな顔をしている。しかし、ずいぶんと呑んでいたようで、足腰が立たないのか、後ろから勇者の首に腕を回してしがみ付いて、引きずられている。
三人目、まずこの人は自分の足で歩いている。それでも千鳥足でふらふら蛇行しながら、勇者の前を先行している。ほかの二人と比べると年上の厚めのメイクをした妖艶な感じのする女魔導師だ。三角帽となかなかきわどいミニスカートと二―ハイ。見え隠れする太ももと、目深にかぶった三角帽のしたからのぞく赤らんだ頬と唇が、実にセクシーな女性……、みんな、女。
『勇者の生態その十二。ハーレムパーティが基本』
時間はすっかり夜だ。勇者が夜に行くところは決まっている、宿屋だ。この城下町に女性と楽しんで飲める店やカジノなどの娯楽施設も完備しているが、ここは堅実に泊まるようだ。
しかし……夜の街、酔っぱらった女性、宿。まさか……!?
翌朝、勇者はあまり疲労が取れていないようだったが、お肌がとってもつやつやしていた。
『勇者の生態その十三。勇者は女好き』
「……というのが今回の報告です」
いったん魔王城へと戻った私は、早速魔王様に報告した。
「そう……か」
魔王様はいつになくしおれたような生返事を返した。
「どうか、なさったんですか?」
「別に……。いいもん、儂、部下いっぱいおるし。その気になれば世界征服できるし。羨ましくなんかないもん、ずっと独り身で寂しくなんかないもん」
ぼそぼそと呟く魔王様だったが、反響して私までその胸の内が聞こえてきてしまっていた。魔王様……ハーレムパーティがよっぽど羨ましいんですね。
『魔王の生態その三。 魔王は、非リア充』
どうも、作者です。ここまでご覧になった方ありがとうございます。短め!! というか本来はこれくらいの長さを常にしておくつもりだったんですが、初回から書いてるうちにちょこちょこネタを増やしちまったので、三回目にしてやっと理想の長さになった。これぐらいなら、いっぱい書けるかな?




