勇者、暁を背に旅立つ!!
ゆるーく、気休め程度にどうぞ。
私の名前はジョビーノ・ガネーメ。魔王様の秘書を務めております。魔王様はある日、私に言いました。
「なんか、十何年か前に勇者とかいうのが誕生したらしいんじゃけど、儂、強いけど、一応、念のためやつの動向とか行動を記録して儂に報告してほしいんじゃけど」
という敵情視察の命をうけ、勇者っぽい気配をたどってとある村にやってきました。
「やった! 俺の勝ちだ!」
「また僕の負けかぁ」
いました。まだ少年の勇者は同い年の村の少年と何かを競い合って遊んでいます。どうやら、彼は自分が勇者であることなんて全く知る由もないようです。
「しかし、勇者ともあろう人が、こんな山の奥の奥にある辺境の村にいるなんて」
『勇者の生態その一。辺境の村で至極平和に暮らす村人として育っている』
「おにーちゃーん! もう、待ってよー!」
「うほっ! サーニャちゃんだ~」
勇者のもとに一人の可愛らしい少女が駆けていくと、それを見つけたライバルの男の子が何やら色めきたった様子で彼女に近づき、抱き着こうとしました。
「いやっ! 私、あなたに興味ないもん!」
男の子はフラれ、抱き着きも避けられてしまいます。
「用があるのはお兄ちゃんの方だもん」
そういって、女の子は勇者の方へ駆け寄りました。
『勇者の生態その二。かなり可愛い妹ポジションの幼馴染がいる』
「お兄ちゃん、よかったら、今日のお祈りに、一緒に来てほしいんだけど……」
「はい」
「やった! 絶対だよ、絶対来てね!」
娘は勇者の手を握って屈託のない笑顔を向けました。ご機嫌のようです。
「く、くそぉー! 俺の、俺のサーニャちゃんに好かれやがってぇええ!」
反対にさっきの男の子はとっても悔しそう。
「誰があなたのよ! 私はあなたのよりも、お兄ちゃんの方がいい……って、きゃー! い、言っちゃった……き、聞いてた?」
「はい」
勇者は即答しました。すると娘はみるみる顔が真っ赤になっていきました。
「は、恥ずかしー!」
そしてとうとう逃げ出してしまいました。
「く、くやしーーーーーーーーーー!」
なぜか、もう一人の男の子もどっかに走って行ってしまいました。
『勇者の生態その三。勇者にはライバルっぽい男と小娘の間に三角関係が気付かれているが、だいたいこの辺の話はこの村にいる間だけのお話。これからさきにはほぼ関係のない話』
夜になり、お祈りの時間です。私も人間に変装して教会に潜入します。完璧すぎて、誰にも怪しまれません。
「お父さん、この女の人誰? 村で見たこと無いよ」
「旅人かな? ねぇ、宿屋のおばさん」
「さぁ、家の宿に客なんて来てないけどねぇ。それにしてもこの女の人眼鏡をかけたべっぴんさんだけど、とぉっても鳥臭くないかい?」
「そうだねぇ、なんだか、足元に鳥の羽とか落ちてるし」
そう、私は誰にも怪しまれていません。ハーピィだなんてばれてはいないのです。
「おお! 我らが神よ。この村に今年も一年平和な日々を……」
祈りをささげる司祭の横に、綺麗なドレスを着たさっきの娘が、最前列には勇者もいます。
「さぁ、サーニャ。あなたも祈りの言葉を」
「……」
司祭が娘に促しますが、娘はちっとも口を開きません。
「さ、サーニャ、どうしたんだい?」
娘の様子がおかしい。どうやら、なにやら私たちにとっていやぁなものに取りつかれているようです。
「我が子よ。我が子たちよ。お前たちに災いが迫っている」
尊大な口ぶり。間違いありません、神の使いがあの娘におりているようです。口を開いたかと思うと今度は立ち上がって、後ろを向いて、勇者の方へ歩み寄り、彼の手を取りました。
「お前は、この世界を救う力を持っている勇者だ。旅に出なさい。そして、この世界の破滅をもくろむ魔王を倒しに行くのです」
「はい」
勇者はあっさりに返答しました。
『勇者の生態その四。勇者は頼み事を断れない性格のようのだ』
こうして、村のお祈りが終わり一夜明けると、勇者は旅立っていきました。もちろん、誰一人として彼を盛大に見送ろうとする人はいません。ひのきの棒切れとお鍋の蓋をもって、外の世界へと旅立っていきました。
『勇者の生態その五。急に勇者だと神っぽいのに告げられて旅に出ることになる。それだけで納得して旅に出るとは、実に自主性のない勇者である』
ところは変わって魔王城。私は報告書を持って魔王様の部屋へとやってきました。
「以上が今回の観察の結果です。魔王様、いかがなさいましょう。今なら私の力でも、あっさりと倒すことができます。このまま放っておけばいずれ、われわれの脅威になるでしょう。……殺しますか?」
「うーーーーーむ、うーーーーーーーーーーーむ!」
魔王様がうなると、城全体がごごごと、揺れる。暗すぎる部屋の闇に包まれた魔王様のきらりと光る眼光がするどく、私を睨みつける。
「ようし、放っておけ!」
「は? あ、あのぉ、魔王様、お言葉ですが、先ほども申し上げたようにいずれ脅威になるやもしれぬのですよ?」
「大丈夫じゃ! 儂は魔王じゃぞ! 人間ごときに遅れはとらんわ!」
がはは、と魔王様は笑いました。
「はぁ、なんだか心配なので、もうしばらく監視を続けたいと思います」
「そうか、好きにするがよい! ガッハッハッハ!」
『魔王の生態その一。慢心する』
はい、どうも作者です。ここまで読んでいただいた方、ありがとうございましたそしてすいません。こんなね、朝の思いつきに付き合っていただいてありがとうございます。内容についてちょこっというと、なにがしクエストっぽい勇者が魔王を倒す王道RPGのあるあるネタ? っぽいのをやりたいなって思って始めました。まぁ、すっごい文章にするの難しくって書き出してから「やべ、これ失敗した」って思いました。なかなか思うようにテンポが良くならなくて、これじゃ面白くないな、と思いつつまいっか、と投稿しました。全八話か七話か六話くらいで終わる予定。
もしも続きが見たいと思ったかたがいらっしゃれば、続きもどうぞ、また早めに投稿します。
ここまで読んでいただいた方、改めてありがとうございました。また、どこかで私の作品に出会えたら、その時もなにとぞよろしくお願いします。では、失礼します。




