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主人公は自然派でした

「そのかわり俺も一緒に行く」

 少女がここまで来たという事は、何かしらの移動手段があるということだ。

 ナリタという場所に興味があるし、聞いたことのない病気の存在も気になる。何より外の世界を見ておきたかった。


「少し待ってろ。準備をしてくる」

 と、縛られたままの状態の少女を残してこの場を後にする。

 ヤムヤムを保存してある小さな保管庫へ向かう。その俺の後ろをレイがついてくる。丁度いい、レイにはやってもらいたい事がある。


「レイ、俺の留守の間、お前がここを切り盛りしろ」

 と言っても通じないので、ジェスチャーや地面に描いた絵で伝える。

 レイに意味が通じたらしく、彼はうんうんと頷いた。


 レイを外に待たせ、俺だけ小さな小屋の中に入り、無造作に置かれているヤムヤムを複数個布に包んで少女の元へ戻る。


「それなりに持ってきた。今からナリタに行くぞ」

 少女の拘束を解き、移動手段があるであろう場所まで案内させる。

 密林を歩き続けると海が見える場所に出た。浜辺には不釣合いな小型の航空機が鎮座していた。軍用機、戦闘機に近い形をしている。


「コレに乗って来たのか?」

「そ、そうです」

 びくびくしながら少女が答える。

「お前が操縦するのか?」

 機体の大きさ的にも乗れて2人程度だ。こうして航空機を前にしても操縦者らしき人物が現れないので、この少女が操縦してきたという事になる。

「そうです」

 俺の質問に答えながら少女は航空機に乗り込む。続いて俺も少女の後ろの席、操縦席の後ろの席に腰掛ける。

 少女は俺がベルトをしたことを確認してから、航空機を動かす。

 煩い音を出しながら上昇する航空機、ある程度の高さまで上がると一気に加速して進む。

 速く流れるガラス越しの景色に感動してる暇もなく、ナリタまで到着した。


 高層ビルの屋上に着陸。

 航空機から降り、屋上から周りの様子を見渡してみたが、高層ビルが幾重にも立ち並び、ビルには巨大な電光板やテレビの様な物が設置され、そこからは色んな宣伝や番組が垂れ流されている。空には車の様な物が飛び交っている。久々の人工的な光に目をやられてしまいそうになったところで、建物の中に入っていく少女の後を追う。


「協力ありがとうございます。私はアリスと言います」

「俺は。俺は間宮勝弘だ」

 廊下を歩きながら少女は自己紹介をした。

 なんて名乗ろうか迷ったが、俺の名前を名乗った。男の時の名前を言っていれば、転生の関係者、猫なり女神なり誰かしらの目に留まるかも知れないしな。


「それで、モードリはどんな病気なんだ?」

 ヤムヤムを食っていた俺は感染する心配はないだろうが、それでもどんな病気なのかは知っておきたい。


「私は何歳ぐらいに見えますか?」

 俺の質問を無視して質問で返すアリス。おい、質問には質問で返すってどこかで教えてもらったのか?

「あ? 12才ぐらいだろ?」

「いえ、私は25才です」

 今の俺の身体より年上だと? そんな訳ある筈がない。

「病気になる前は歳相応の身体をしていました」

「な、まさか……」

「そうです、モードリは若返ってしまう病なのです」

「若返り過ぎて死んだりするのか?」

「お察しの通りそれで亡くなる人が出始めたのです」

 ジャンプ漫画じゃあるまい、そんな非現実的な事が起きてたまるか。だが、現にこの少女が航空機を普通に操縦できたのだ。単身であの密林までやってきたのもそうだし、元が25才だと言われても納得してしまいそうだ。


「その病を食い止める為にもヤムヤムが必要だったのです」


 アリスに返事をしようとしたが、廊下ですれ違う人々に奇妙な目を向けられる。そりゃ裸足でこんな貧相な格好してりゃそんな目で見られるわな。

「あ、着替えますか? 私もこんな格好ですし」

 アリスは泥まみれでボロボロな服を見せ付ける様な仕草をしている。

「あぁ、頼む」


 ロッカーの立ち並ぶ部屋に案内され、そこでアリスが前に着ていた服を借りようとしたのだが、残念な事にサイズが合わなかった。着れるものが白衣しかなかったので、仕方なく裸に白衣とマニアックな格好に。それでも下着と靴は何とかなったのでまだ平気だ。そもそも前の格好と露出度はそんなに変わらない。


「これから私はヤムヤムを持って研究所に行きますが、貴女はどうしますか?」

 着替えの終わったアリスに聞かれる。

「そうだな、少し外を見て回る」

「でしたらコレをお持ちください。何かあれば連絡してきてください」

 携帯電話らしき通信機を渡され、使い方を簡単に教えてもらう。それとお札を数枚貰う、これで服でも買ってくださいとのことだ。


 アリスと更衣室で別れ、俺は1階に向かう。

 ビルから外に出ると、煙たく臭い空気が俺の肺に流れ込む。屋上では分からなかったが、地上の空気は身体に悪そうで嫌な感じだ。


 街の様子を探りながら適当に歩き始める。地面は全て舗装され、街路樹も見あたらない。自然が一切見当たらない。

 ジャンクフードが食べられるんじゃないかと思い、店を探して歩いてみてもソレらしき建物が見当たらない。道行く人に食べ物は売ってないのか尋ねると、自動販売機の元へ連れて行かれた。食べ物は全てサプリで済ませているみたいだ。試しにサプリを買って飲み込んでみるが、腹の膨れた感じがするだけで満足感は得られない。これで栄養も取れるらしいが、信じられんな。密林で食ってた物の方がマシに感じてしまった。

 

 これからはどうしようか。また歩きながら考えればいいか。

この回は銀魚が担当しました

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