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主人公は勢いすでに破竹でした

 ……こうして、三千人もの軍勢を銃火で蹂躙した俺たちだった。


 だが、敵の蛮人ども相手に、いかんなくその未知の火力を行使したかと言えば、そうでもない。


 弾薬に限りがあるし、それらを殖やす冶金技術、火薬の知識は我が軍にはない。


 俺は知識人であって、技術屋じゃない。そのあたりのことは門外漢だ。

と言って、追加購入する余力はない。


 弾薬は、節約しなければならなかった。


 この武器……鉄砲というものをまっとうに軍事利用するには、湧いて出るほどの金銭とそれを循環させるだけの販路が必要だ。


 同じ立場に立ってみて、改めて織田信長の偉大さが理解できた気がする。


 長篠の戦いで武田騎馬軍を鉄砲隊にて打ち破った。人は鉄砲を戦闘に取り入れた先見の明ばかりを賞賛する。


 だが、ほんとうに評価すべきは実戦投入できる物量をそろえられる経済基盤を構築している点だろう。


 話がそれた。

 どんだけ頭をめぐらせようと、事実カネにも弾にも余裕はない。

 貴重な武器を無駄に戦い、浪費させるのは果てのない砂漠で水をガブ飲みするようなものだ。


 ではなぜ、その節制すべき弾丸を惜しみなく三千人もの敵兵に浴びせたのか?

 単純に危急存亡の秋ゆえ、やむをえず虎の子を吐き出しただけではなかったのだ。


 いわば、宣伝効果というヤツだ。

 鉄砲自体の認識率は、この未開の土地では低いものだ。


 だから敵中の、あるいは日和見を決め込んだ連中は衝撃とともにこう思うだろう。


『女王は魔法を用いて六倍する敵を焼き払った。軍神である』

 とでも。


 ……そう、ここからが、前身弁護士たる俺の領分だ。そのテリトリーに相手を引き込むための、必要経費、あるいは先行投資というヤツだった。

 実際、俺もありとあらゆる手練手管を使いまくって、『女王マミヤ軍神説』を広めた。


 我ながら荒唐無稽だとはわかっている。


 それでも、人は無知にはとことん弱い。


 この世界にはじめて来た時、相手の無知さにつこけんで女王となったからわかる。

 ……そして、自分自身もまた、先にこの世界にやってきた連中に良いように利用されてきた。智恵者ぶったところでこの世界のことを何も知らないから、いきあたりばったりで方策を決定し、周囲の状況に流されてきたからこそ、身に染みて痛感している。


 ヤツらがおなじように自分らの無知さに揺らいだところに、俺自身が乗り込み、その弁舌でもって切り崩しを図る。


 最善の策は戦わずしてなんとやら、だ。

 事実俺たちの調略や説得、あるいは恫喝は功を奏しつつあった。


 勢いのあるところに、人も金も集まってくる。

 三千以上もの弾丸の元手は、すぐにとることができた。


 そうして敗色を塗り替えて、数ヶ月後には俺たちの勢力差は逆転していて、敵の本拠をかつての三倍する兵力で包囲していたのだった。

この回は瀬戸内弁慶が担当しました

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