超不可思議な出来事が超唐突に起きた夜 ~俺の弟は妹になったようです~
我が家の家族構成は、父親と母親、長女である姉貴、次男である俺の弟。そして、長男であるこの俺、高須日光輝の五人家族だ。
何故いきなり家族構成を話し出すのか、と言いたいヤツもいるだろう。
それというのも、最近、我が家に次女が現れたのが関係している。
・・・・・・ああ。別に、新しく子供が産まれたって訳じゃないぞ?お袋も年が年だし、流石に子供なんて産めない。
じゃあどういう意味なんだって?
いや、だから"現れた"って言ったじゃないか。"産まれた"じゃなく"現れた"。
・・・・・・まだ分からない?仕方ないなぁ・・・・。
・・・・・・・・いや、やっぱ説明は無しにしとこうか。大丈夫。その内すぐに――分かる。
◇◆◇◆
――おかしい。
いや、別に、面白いことがあった訳ではない。今のは、不可解な事があった時に使う方の"おかしい"だ。
というのも、俺の可愛い可愛い弟が、夏休み開始日から数えて三日間もの間、自室から全く出てこないのだ。
いや、全くというのは少し語弊があるか。一応、ご飯はちゃんと居間まで降りに来てくれるし、風呂の時も下に降りてくるのだから。
しかしその食事にしても、自分の分をさっさと取ると逃げるように自室に持ち帰り、そこで済ませてしまうし、風呂も驚くべき早さで入ってしまう。
もちろん、今まではこんな感じじゃなかった。夏休みに入ってから、突然こうなったのだ。
「・・・・・・俺、なんか悪い事したかなぁ・・・・」
自室のベッドに寝転がって、一人呟く。こうなってしまったのも全部、兄である自分のせいなのかもしれない。
弟が何かある毎に、責任を自分に求めるのは、俺が"兄"になった時からの癖だ。まあ、これが、兄として普通の事なんだろうとは思うが。
「にしてもどういうつもりだ?アヤのやつ・・・・。兄である俺はおろか、家族全員にまで心配かけやがって・・・・・・」
俺が言うのもブラコンみたいでアレだが、弟のアヤ・・・・高須日彩斗[たかすかあやと]は、家族に心配をかける様な事は絶対にしない、とても良くできた子だ。とてもじゃないが、ここまで皆に心配をかけさせるなど、あり得ない。
「・・・・・・きっと何かあったんだな・・・・」
だが、俺には解る。伊達に長年、アヤのお兄ちゃんとして、アヤの事を思い続けてきた訳じゃない。
居間へ食事を取りに降りてくる時に、一瞬だが見えた、あの目――。
あの目は、絶対に、何か深刻な問題を抱えている目だ。それをアイツは・・・・皆を巻き込むまいと、一人で抱え込んでいるに違いない。
「何故今まで行動を起こさなかった、俺?」
弟が困っているのを見て、行動を起こさないなど、何のための兄だ。困っている弟に手を差し伸べてこそ、本当の兄だろう。
「俺は・・・・兄貴失格だな・・・・・・」
苦笑混じりに、呟く。自分のダメっぷりに、笑いすら込み上げてくる。
「こんなんじゃ・・・・アヤは守れない」
――だが俺は、ここでドロップアウトするつもりなんて、毛頭無かった。
「待ってろ・・・・アヤ。兄ちゃんが絶対に、助けてやるからな」
そう口に出して、立ち上がる。目指す先は勿論、アヤの部屋。俺は、直接アヤと話をすることに決めたのだ。
「アヤも、話せば幾らかは気が和らぐはずだ・・・・・・」
自分の部屋を出て、廊下の一番奥、突き当たりの位置に、アヤの部屋はある。
位置的には、俺の部屋の隣の隣であるはずのアヤの部屋だが、今はその僅かな距離でさえ、長く感じた。
「・・・・・・よし。ここはアヤに無駄な気を使わさないように、自然体で入るか」
アヤの部屋の扉の前で、改めて作戦を確認する。改まった感じで入るのではなく、いつもの様に、あくまで自然体に。あくまで、ラフな感じで入る事にしたのだ。
「うーっす。ちょっと入るぞアヤー」
ガチャっと、敢えてノックをせずに入る。――それがどんな事態を招くか知りもせずに、極めて安易に。
「えっ・・・・ちょっ、お兄ちゃ・・・・・・」
「いやー、すまん。ちょっとアレ貸してくれな・・・・い・・・・・・か」
ドアを開き、適当な口実を口にしようとして俺は、目を見開いて固まってしまった。アヤが何か言いかけていた事も、意識の外に消し飛ぶ。
俺が目にしたのは、信じられないものでも見るような目をして、固まっている、アヤの姿。
――しかし、問題が一つ。
固まっているアヤは、丁度着替えの途中だったのか、Tシャツを肩の所までたくし上げていたのだ。
いや、別に、それが問題ではない。俺が言う、一番の問題は――
「きゃああああああああああああ!?」
――唐突に、やっと我に帰ったらしいアヤの絶叫が迸った。
「のわっ!?す、すすすすまんっっ!!いや、その、ノックしないで入ったのには歴とした理由があるといいますか――!!」
「ど、どうでも良いから早く出てって!いますぐっ!!」
顔から火でも吹くんじゃないかってくらいに赤面したアヤに、廊下へと突き飛ばされた。バランスを崩して、床へ顔からダイブした俺の背後で、勢い良く閉まるドアの音が響く。
「いっ・・・・つつつ・・・・・・」
顔面強打したお陰で、鼻が痛い。そっと、自分の鼻を愛でるかのように撫でつつ俺は、たった今この目で見た光景の異様さを、再び思い返していた。
「ど、どうしちまったってんだよ・・・・アヤのヤツ・・・・・・」
何が『何か深刻な問題を抱えている』だ。
「流石のお兄ちゃんでもそれは、規格外すぎるぞ・・・・」
アヤに聞こえるか聞こえないかの声の大きさで呟きつつ俺は、先ほど見たアヤの半裸に、自分でも驚くほど動揺していることに気付く。心臓も、早鐘のように鳴っていて、忙しない。
「お・・・・落ち着け・・・・・・落ち着くんだ俺・・・・なにを弟の半裸ごときで、そんなに動揺する必要がある?」
流石の俺も、弟の半裸を見て興奮するような、アブナイ趣味は持ち合わせていない。
――ならばなぜ?なぜ、こんなにも取り乱す?
「くそっ、くそっ!や、やべぇ・・・・・・やべぇって!アヤが・・・・アヤが・・・・」
その答えは、至極単純――。
「アヤが・・・・"妹"になっちまった――!?」
そう。俺が目にしたモノとは、ちょうどTシャツがたくし上げられた事によって、露になってしまった、胸。
ただし、男にはあるはずの無い膨らみを持ったモノ――。
――おっぱいだった。
・・・・・・いやいや、
マジか・・・・・・
我が家の次女は――俺の弟!?
◆◇◆◇
現状報告兼総括。
我が家から次男が消え、
次女が新たに増えました。
・・・・・・うん。
続報を待て。
はい。
今回は執筆がはかどりまくりでした。
いや、書いていて楽しかったですねホント←
まあ…
その結果がコレかよッッ
って感じですよね(笑)
うーん…。
まあ、自己満足な文は楽しくないと相場は決まっている…と、どこかの誰かが言ってた気がしますしね。
今回も、その程度のレベル…って事で←