表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/75

9

 シドウは首をうわずらせ、目を閉じて待っていた。それがあまりに扇情的で、机にトレイを置くなり、気がつくと僕は鈍く尖った鼻頭にキスをしていた。しなやかな厚い皮膚と、その奥のもろい硬質さを感じる。

 本当に無意識の行動だった。僕ははっと正気を取り戻したように、自分でも驚くくらいの機敏さでティナのほうへ振り向いた。ティナはよりによって、いつものアルカイックスマイルをたたえて僕を見ている。


「朝から大胆なひとですね」


 怖いくらい平坦な声だった。あるいは、本当にひとつも動転してないのかもしれない。いっぽうで僕は、全身の毛穴がどっと開くのを感じている。

 どうしてこんなことをしたのだろう。激動する感情が思考を追い越して、それを自覚するころには行動が終わっていた。何より自分のしたことが分からなくて、困惑のあまり立ち尽くすほかなかった。


「でも、気持ちは分かります。シドウは綺麗ですから」


 ティナがさらに口元を引き上げ、平坦だった声色と微笑には幾分かの情緒が含まれた。明瞭すぎる眼球の奥で、僕の思考が凍りつくさまを余すことなく見透かされた気分だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ