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夕飯のあと、たいてい「彼女」は浴室へ向かうのだけど、さっきしがたシャワーを浴びたせいかまっすぐ自分の部屋に帰っていってしまった。それを見て、ティナが「僕」に目配せをくれた。おおよそ「先に入るよ」とかそんな意味だろう。「僕」は小さく頷いた。
ただ「僕」はお昼ごろにシャワーを済ませてしまったため、本当のところを言うとわざわざ「僕」に許可を請う必要はない。とはいえ、ここで「彼女」と二人揃ってシャワーをしないのはやや不自然に思われるかもしれない。食事の後片付けを終えて、「僕」は着替えの準備へ取り掛かることをした。リビングを横切って、その奥の自室へ向かう。
自室と言ったけど、本来の「僕」の部屋はこの時期まるで使い物にならない。「僕」の部屋だけは二階にあり、屋根板の真下に出来ている8畳ほどの空間だけど、とにかく異様に冷え込むのだ。日が当たらないからだろうが、それを差し引いても異常なほどだ。だからこの時期になると必ず、布団と着替えだけ持ってティナの部屋へ逃げ込む。この家においてティナの部屋が一番広く、二人分のベットを置いてもなお余裕があるからだ。




