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「……え?」
たんじょうな目鼻がさらに歪む。でも僕はその奥底、ひとみの中ほどがかすかに揺らいだように見えた。自分で言うのもなんだけど、いまの僕はこの上なく冴えている。考えなしに行動ができているから、それだけいろいろなことを把握できるのかもしれない。
「……さっきからずっと考えていたんだ。僕はいったいどうして、どういう経緯でここに辿り着いたのだろう。シドウのことがどうして好きなんだろうって」
「いまこうして結果だけがあって、その過程が綺麗に抜け落ちてるんだ。そのくせみょうに現実的なことだけが僕の中で固着していて、これに気づいてから僕はすっかり困惑した」
「だからこの生活のはじまりが気になった。君とシドウがいったい何者なのか、僕は君たちにとっての何なのか」
「君に問い詰めようと思ったけど、そうだ……君は何も知らない。いまそれに気づいた。することはもうひとつしかない」
「……終わりにしよう。さっき首筋のあたりからすこしだけ、なにかが見えたんだ。そういえば、君はどんな季節でも、いつも長袖にスラックスを履いているよね。どうしてそうなっているのか、は君自身も知らないと思うけど」
「僕にそれをよく見せてほしい。それだけで、僕はこの悪夢からおのずと立ち去ることができるはずなんだ」




