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言ってしまえば、最初にあの絵本をめくったその瞬間から、すべてに気づくべきだったと思う。それができなくて、文字通り何もかも、僕はすべて手放してしまった。
引き返して、叶うならやり直したいけど、どうしても手遅れだった。後悔がいっそ、正気ごとちぎれてしまえば楽で仕方ないと思うけど、僕は誰よりもまともだった。いまいちスケールに欠けるけど、餌をやり忘れて金魚を死なせたときみたいな気分がずっと続いていて、胸をすくような隙もない。いつまで経っても、後悔の種だけが僕を支配している。
僕がまずたどり着いたのは回想だった。今はもう、実体のないものだから、ただひたすら過去を辿る。彼女と出会うより前、僕にとって人生の深淵みたいな記憶も、この家に息づいていて、今はそれが愛しくさえ感じる。生きるということに、良し悪しなんて本当はないのだろう。




