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 言わずもがな僕はさして思い巡らすことなく、棚の取手に指先をかけると、予想していた通りそこには一冊のノートがたたずんでいた。古紙パルプをそのままにつむぎ合わせたような格好の、しごくシンプルなものだ。一切の表記もなく、我ながらあまりに簡素なものを使っていると思う。たしか、記憶している限りこのノートは一冊目ではなく、この家に来てからかれこれ三冊ほどは書ききっていたはずだった。それらがどこにあるかは思い出せないけど、おそらく僕の家にあるのだろう。

 ……そういえば、僕は僕の家について、どの辺にあるとか間取りだとかは詳しく覚えているのだけど、はたして最後にいつ帰ったかだとかは、というよりむしろ……「遠い記憶の中にある」。たとえるなら通っていた小学校の構内みたいな、僕がかつていた場所の風景にすぎなくて、僕の家はいまの僕の中で居場所としての存在と感じられない。僕の居場所はこの家だという大きな前提があって、僕の家はいわば引っ越す前の借家みたいな認識なのだ。現実の僕が気づいたなら、きっと目まいを起こしていただろう。


 ともかく、このノートの最終日に書かれたであろう記述によって、なにかが発動する。それを手にとった時から、僕には確信のようなものがたしかにあった。この夢の不可解な事象をすべて説明するような、また僕の過去に直結する事実が、ここにある。かすかに震える右手でページを探った。

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