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黄色みの強い瞳。あらゆることがらを透かし通すような聡明さと、それでいて今にも混濁しそうな、脆弱さをあわせ持っている。ついさっきまでモノクロの中にあったそれはいま、まぎれもなく僕のことを写し出していた。彼女は表情を変えない。だからなにかを尋ねたいのか、なにかを訴えたいのかはわからないけど、ただひとつ、その眼差しには明瞭とした、たしかな意味があるということだけを、僕はなんとなく感じとることができた。
そして不思議と、僕自身にも気恥ずかしいだとか、そんな気持ちはなかった。心臓の跳ねるような鼓動に関わらず、感情はやけに平静なのだ。絵本にしおりを差して、自由になった手はまた、少なくとも僕の意思に赴かず彼女のほうへ、あまりにもやすやすと伸びていった。
あのときと違うのは意識の有無だ。朝方の僕は、感情や意思、ひいては一瞬のあいだを飛びこえて、衝動だけが行為をさせていたけど、今は何もかも、すべてが地に足をつけていて、その上で彼女に触れることを容認している。本意でないことにまちがいはないけど、これはたしかに「僕の行動」だった。




