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 園内は風を遮るものが少なく、ひときわ寒かった。点在する、痩せこけた桜のひとつが、ふいに貧弱な身体を揺らし、積載する雪を振りはらった。簾のように舞い落ちた白い粒子が、鏡面みたいに輝く。僕は眉をひそめた。

 そうでなくても冬の天気は変わりやすいものだから、傘のひとつくらい携えていくべきだったのだろう。雪ばんだジャケットに一瞥をやり、僕の足は外れにある林道へ進んでいた。


 その家は林のさなかにある。よく燃えそうな、芯まで水気のない檜でできた小屋で、古い家であることは明らかだ。通して洋風なデザインで、上方には半円形の窓枠が等間隔にて並び、ひっそりとお洒落を主張するようだった。くすんだ白の外壁は至るところがめくれ上がり、黒ずんだ地肌を見せている。だいたい年がら年中、じめじめとした雰囲気を醸し出すおんぼろの小屋といった印象だけど、この時期だけは細々とした木々たちに示し合わせるような、彩を欠いた色調がよく映え、なかなかどうして風情のある佇まいである。

 僕は扉の前で足を止めた。やけに重厚な仕上がりのそれをふたつ叩くと、足元を這うような低音とともに、よく通る返事の反響があった。

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