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……


 ひどく霧めいた意識の中、ふいに鮮明な光が差した。ちょうど覚醒する間際みたいな、鋭敏な感覚が乗り移るような気分だ。

 いつの間にか寝てしまったのだろうか……まもなくそう思った僕は、完全に取り戻した身体で、はっと目を見開いた。


「……?」


 どうやら僕の身体は、黒革のソファに何かを抱きしめた状態で寝ていたらしい。いまだにぼやけた視界の中、僕はその正体を強いて見据える。


 紛れも無くシドウだった。黒いワンピースを着た彼女は、僕が抱きしめたまま、真っ先に違和感を感じるくらい柔和で繕われた表情をたたえ眠っている。いや、眠っているというか、心音や脈動が感じ取れないし、何より肢体は心地良いくらいに冷たい。それが死んでいるということはあまりに明白だった。

 数瞬、僕は思考をやめてしまう。単にショックからじゃなく、むしろ倒錯した、安堵に近い「疑惑」が心を包んだからだ。明らかに僕の感情は、リアルに置かれていない。死体と抱き合っていた事実を確認しても、動揺するというか、それよりは設定に引き込まれたような……映画か、ホームビデオを眺めているような気分だった。

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