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玄関扉の閉まる音がして、空間にはまた、やけに鎮静な意趣が広がった。しんしんと、音にならない鼓膜の振動がやけに反響する。
シドウのほうを見ると、もう呼吸は収まったらしく、食卓の椅子に腰掛けたまま、どこともつかない方向をぼうっと見ている。
「シドウ、大丈夫?」
手持ち無沙汰なのもあって、なんとなく確認を取ってみたけど、言わずもがなあまりにばかな質問だった。当然彼女は眉一つ動じる事なく、無言を貫いている。
僕は小さく息をついて、シドウの隣の席に腰掛けた。トースターの熱気のせいかはわからないけど、妙なぬくもりがあって、不思議な居心地がする。彼女はこの時間帯、たいていこうしているけど、その理由が何となくわかった瞬間だった。
「退屈じゃない?」
今日はなんだか、意味のないことを率先してやっている気がする。隣に座ったのは僕なのに、どうしても落ち着かなくてまた質問を投げかけた。
すると今度は、こともあろうにシドウは僕のほうを見据えてきた。昏く、まっすぐな瞳にはやはり情緒が見あたらないけど、僕になにかを伝えようとしている、ということには間違いないようだ。




