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それだけ彼女はひどく不安定で脆い存在だった。体躯は小枝のように細く、青みがかった唇が示唆する通り、あまりにも体温が感じられない。普段からまともな食事を取っていないため、頬はいつもそげ、目元には隈が巣くっている。例えるなら、救いのない夢のように、どうしようもなく退廃的といえるかもしれない。だからこそ、気をかけずにはいられないのだ。
庇護欲とはまたひと味違う感覚だった。いずれにせよ、僕自身が彼女を特別なものとして見ていることには間違いがない。さっきから、僕は内在するそれにありありと向き合い、知ってしまったのだ。
「ごちそうさまでした。行ってきます」
ティナはそう言って、バッグを抱え僕のほうに一礼をした。
彼女の通う学校は、ここからは片田舎の電車でひと駅の場所にある。とはいえ、とりわけ彼女は家を出るのが早い。実際に計測したわけじゃないし、学校の始業時間を知らないから断言はできないけど、たぶん登校してからまる一時間は持て余していると推測する。
過去に一度、始業まで何をしているのかを聞いたけど、「女の子は秘密のひとつやふたつあるほうがいい、ってシドウが言っていました」などとあしらわれてしまった。




