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近江の国友屋庄左衛門でおます  作者: 双鶴


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6章

八幡の町は、堀を中心にさらに賑わいを増していた。荷船は絶えず往来し、京や大坂から江戸へと至る道筋に近江商人の姿が見られるようになった。町筋には新しい店が並び、商人たちの声が響き渡る。市場には焼き魚の香りが漂い、味噌の匂いが鼻をくすぐり、布地の鮮やかな色が並び、人々の服装は華やかで、笑い声が町を満たしていた。


庄左衛門はその光景を見つめながら、己の商いの意味を再び考えていた。武器商人としての過去は消え去り、近江商人としての未来が始まった。彼は「三方よし」の理念を胸に刻み、己の商いを広げていった。京、大坂、そして江戸へ。商圏は広がり、近江商人の名は世に知られるようになった。


「商いとは、人を生かし、町を育て、世を潤すものだ」


庄左衛門はその言葉を繰り返し、己の誇りを確立した。商人としての誇りは、武器商人としての過去の誇りとは異なる。人を殺す商いではなく、人を生かす商い。それこそが彼の誇りであり、近江商人の誇りであった。


町の人々もまた、その誇りを共有した。大工は「材木を売れば家が建ち、人が住む」と語り、鍛冶屋は「農具を売れば田が耕され、食が満ちる」と笑った。商人は「布を売れば人が着飾り、町が華やぐ」と語り、農民は「肥料を買えば田が肥え、子らの腹が満たされる」と喜んだ。船頭は「荷を運べば町が潤う」と声を上げ、子どもたちは「父母の商いが町を育てる」と誇らしげに語った。群像の声が交錯し、町の未来が描かれた。


庄左衛門はその声を聞きながら、己の誇りを確信した。商いは人を生かし、町を育て、世を潤す。武器商人としての過去は消え去り、近江商人としての未来が始まった。彼の誇りは町の誇りとなり、世の誇りとなった。


夜、庄左衛門は八幡堀のほとりに立ち、月明かりに照らされた水面を見つめた。安土の炎の記憶はまだ胸に残っていたが、ここには新しい光があった。水面に映る月は、誇りの象徴であり、未来への希望であった。


「焼け尽くした町の灰から、誇りが芽吹き、水が町を潤す。これこそ新しい時代の象徴だ」


庄左衛門は静かに呟き、暖簾を掲げ直した。

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