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紅蓮誠の料理道  作者: ギャボ
第一章 幼児期 1~20話
10/50

第10話 初めての外泊

本日、予約投稿ミス10話からUPしてしまった。なので、割り込み投稿で6,7,8,9を一挙に投稿しました。次回から気よ付けます。

### 第10話 初めての外泊


穏やかな春の日差しが差し込む中、紅蓮誠の心はどこか高揚していた。遂に彼は、人生初の外泊を迎えることになった。それも、隣領の名門・ベルディ家、伯爵家に招待されてのことだ。百年にもわたる貴族の伝統ある家庭での外泊は、誠にとって新しい世界への扉を開くことを意味していた。


「レオナルド、今から伯爵の家に出発するよ。」俊久が誠を抱きかかえながら言った。誠は窓の外を眺め、いよいよ異世界の冒険が待っていると感じ、ワクワクが止まらなかった。


伯爵家に到着すると、多くの貴族たちが集まり、華やかなパーティーの準備が進められていた。誠は乳児としての純粋さを漂わせながら、周囲を見回し、その美しい環境に圧倒される。高級な衣装や、宝石のように輝く装飾品が散りばめられた空間は、彼にとってまるで夢の世界のようだった。


「今日のパーティーは、貴族の料理が振る舞われるのよ。」俊久は誠に耳打ちした。その言葉に誠は心を高め、料理の監修をする機会がないかと期待した。


「ねえ、お兄ちゃんたち。私、料理を見てみたい!」誠は小さな声で言った。興味が募り、自分の才能を試す瞬間を心待ちにしていた。


「いいよ、食材は何を使っているのか見せてあげるから、一緒に行こう。」士朗が誠を先導し、パーティーの食材コーナーへと導いた。そこでは装飾された盛り付けの数々がセッティングされており、それぞれが美に富んだ芸術品のようだった。


誠は周囲を見回しながら、「この材料を使ったら、もっと美味しい料理になるかも!」と、次々にアイデアが浮かんでくる。興奮を抑えながら、周囲にいるシェフたちに料理のアドバイスを始める。彼は自らのインベントリーを活用し、さまざまなハーブや香辛料を提案した。


「このハーブを使ってみてください。この味は母も好きな味です!」誠が笑顔で勧めると、周囲のシェフたちはその発想に目を丸くした。その中には、一流の料理人が多く、彼のセンスに感心する人々もいた。


「この小さな子がこれほどのアイデアを出してくれるとは…」シェフの一人が驚きの声を上げ、当初から思っていた以上に誠の才能が注目を集め始めた。


パーティーが進む中、誠は伯爵夫人と対面する機会を得る。穏やかで優しい微笑みを浮かべた伯爵夫人は、「あなたが紅蓮誠というお子様ですか?」と声をかけてきた。


「はい、私です!」誠は元気に応え、「この料理には私のアイデアがあるよ!」とウキウキしていた。


「なんという才能でしょう!あなたはまさに天才ですわ!」伯爵夫人は目を輝かせ、誠を抱きしめるようにして称賛した。その褒め言葉に、彼の心は嬉しさで弾む。周囲の人々もその光景に驚き、一斉に拍手が起こった。


その瞬間、誠は初めての外泊が特別な意味を持つことを実感していた。周囲から一目置かれる存在になる感覚が実感となり、自身が果たす役割への期待も高まった。


「レオナルド!」その時、彼の名前を呼ぶ声が聞こえた。振り返ると、幼馴染のメルルが笑顔で駆け寄ってきた。彼女も伯爵家に招かれていたのだ。


「メルル!どうしてここに?」誠は驚きと喜びでいっぱいになった。


「パーティーに招待されたから。嬉しいな、また会えて!」二人は子供ながらに互いの成長を喜び、輝く笑顔で再会した。


その瞬間、家族の絆だけでなく、故郷の友との結びつきも忘れない。誠の心に、これからの道に一層明るい光が差し込んでいく。彼は貴族社交デビューという新しい冒険を迎える準備が整い、心からの希望と共に、未来を見つめていた。


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