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人の声

次に目を覚ました時、子供はいなかった。


あれは幻影だったのか?


あるいは、夢だったのか?


おれは、どのくらい眠ってたんだ?


時間の感覚はやはりない。


そして、思考は巻き戻されたように、同じものがぐるぐる回っている。


その中で、子供を何とかして探したいという思いと、


こんな闇の中でどうやって見つける? ムダだという思いがしばらく葛藤したが、


結局、いくら考えても意味なく、闇に塗りつぶされるように思考が吸い込まれてしまう。


あれは幻影もしくは夢だった、彼女との記憶以外はそんな感じですぐに風化していった。


「誰か何か教えてくれ、そもそもここはどこだ?」


声を出してももちろん、誰も答えちゃくれない。


全てが自問自答、その繰り返しだったのに、あるとき、


(もし)


だれかに呼ばれた気がした。


ついに幻聴まで聞こえはじめたのか、


こうやってすっかり狂っていくんだな。


「もし」


さっきより、はっきりと近くで聞こえた気がした。


反射的に、


「だれだっ、だれだっー、返事をしろよっ、お前はだれだーー!」


無言に過ごし、たまっていたものを吐き出していくように叫び続けた。


次の瞬間、上の方から光がさし込んできた。

無限に広がっていた闇、上には何もなかったはずだったが……


しかも、その光は少し手を伸ばせば届くほどの距離にあって、

そこに、マンホールの穴のようなフタを持ち上げている人影が見えた。


「もう、出ていいですよ」


はっきりと聞こえた、これはホンモノの人の声。


声のほうに顔を向けると、眩しさに目がくらんだ。


目の前に現れた顔は光に反射していた。


いや、正確には鉄の仮面を被った顔が、そこにあった。


「おまえはだれだ?」


「わたしは、ここの住人です」


鉄仮面が手を差し出して、おれの手を引っ張っていく。


どれくらいの時間が過ぎたのかわからないが、


おれはようやくあの闇から解放された。

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