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天界編

ぱっと見た感じは白馬と思ったがよく観察すると、

その身体は毛でなく鱗みたいなもので覆われている。


身体が光に反射してキラキラと輝いている姿は、

何か神聖な生き物のように思われた。


もしかして、何かの生まれ変わりなのか?


「これは、こっちの世界のオリジナルっす。向こうじゃ見たことないっしょ?」


「ああ、なんだこれは?」


「天馬と龍のミックスらしいですよ。なんで、みんなこいつを龍馬って呼んでるっす」


「リュウマ、か。なんかそんな名前を現世でも聞いたことあったな」


「この子、こっちと現世の間を自由に飛びまわるんすよー」


「そりゃ、すごいな。ケイはその運転手みたいなもんか」


「そーっす。じゃ、後ろに乗りなよー」


「おいおい、いきなり命令形か」


「仕事中は、先輩っぽく見せないとさぁ。じゃ、しっかりと捕まるっす、落ちたら終わりっすからねー」


おれは小さなその背中をしっかりと抱きしめた。

と同時に、リュウマは走り始めた。いや、これは飛んでいるのか?

加速などもなく、いきなりフルスピード、まるでロケットだな。


あまりの速さに周りが見えない、いや、そもそも周りがない。

細くて暗いトンネルのような空間をつき進んでいく感じは、

まるで時間をさかのぼってるような錯覚がした。


「ね? これジェットコースターより速いっしょー、楽しいっしょ。あっという間っすよ」


ケイは平気で話しているが、おれはしがみついてるのに必死で、

返事をする余裕はなく、心のなかで、これも地獄でいいだろと呟いた。

もともと、高いところとか速いもの、要は遊園地にある乗り物が苦手で、

現世では避けてきたのに、ここでそんな経験するとは想定外だったな。


どのくらいの時間が過ぎたかわからないが、体感としては数分ほどで

目の前に光がさしてきて、それと同時にスピードがガクンと落ちた。


「たしか、ここらへんかなぁ。あそこ、見てごらんよ」


ケイの指さす方に目をやると、はるか下方に街らしき景色が現れた。


「じゃ、ぼくは、ここまでっすねー」


「おい、もしかしてここから落とすわけないよな。それだけは、やめてくれ」


「なに、子供みたいなこと言ってるのかなぁ。この真下に対象者がいるんすよー、頑張るっす」


と言い残して乗っていたリュウマごと突然、消えた。


その瞬間、おれは空間に投げ出された。

真っ逆さまに落ちていく、肉体的な感覚があった。

これは心が感じてるもの、錯覚なんだと言い聞かせる。

こんな高さから落ちたら100%、助からないだろ。


落ちていくスピードはさらに加速されていった。

目を開こうにも瞼が動かないし、鼓膜が破れそうなほどの耳鳴りが響く。

ついには意識が遠くなって、地面の感触を味わう前に完全に気を失った。


『どんなに痛く辛くても気絶することはありません。もちろん、死ぬこともありません』


意識がなくなる直前に、ジョーカーが話した言葉を思い出した。


つまり、おれはもう心じゃないってことなのか……



天界編 is the end.

ここまで読んでいただいた方々に感謝いたします。

次回より「現世編」を進めていきたいと思います。

少しでも興味を持たれた方は、引き続きお願いいたします。

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