表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界最弱のニート様 敵は異世界最強の勇者様? 俺 死亡フラグ回避するために棚ぼた勇者めざします!  作者: 風まかせ三十郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/59

第31話 勇者さんは魔生物がお嫌いなようです

 パトラと白馬の並足で一時間ほど。

 ようやくオークの森が見えてきた。

 その間に俺、何度か話しかけたんだけど、勇者さん、一言も口利いてくれなくて。

 小物狩り主体(メイン)って言ったのが、なんかとても癇に障ったらしくて。

 そりゃ、まあ、誇り高い(プライド)人だということはわかるんだけど、ちょっと小者扱いしただけで、それはないよねえ?

 最初に会ったときは大物の風格を漂わせていると思ったけど、意外に子供っぽい一面を感じさせる人だ。

 ニート王の優れた資質のひとつに子供っぽさというのがあるんだけど、そんな俺に共通性を感じさせるとは、いや、勇者さん、あんたは偉い! 

  

 突然、勇者さんが顔を(しか)めた。


「うん? なんだ、この臭いは」

「あれ、勇者さん、知らないんですか? オークの肉を焼いてる匂いですよ」

「オークの肉だと?」

「ええ、これが実に美味いですよ」

「君はあんな物を食べるのか?」

「えっ、確かオークの肉って高級食材ですよね?」

「あんな下種(げす)な生き物の肉が高級だと?」

「下種って……。そりゃ、エロ本好きなのは相変わらずですけど、彼らは人間の言葉を理解できるし、独自の文化も持ってます。下種といって切り捨てるには……」

「ほう! 君はそんな優秀な種族の肉を食べたのか? 下種なのはオークではなく、どうやら君のようだな」

「……」


 俺、一瞬、帰りかけましたけどね。

 まっ、ここは大人の態度で。

 ニート王時代なら間違いなく腹立てて帰ってました。

 どう、俺って成長した?


 俺と勇者さんは共に下馬すると、オークの集落に分け入った。

 パトラは同行を拒んだ。

 よほど勇者さんが苦手らしい。


「たまらんな、この臭い」


 勇者さん、あの香ばしい匂いを、なにが気に入らないのか、マントで鼻を被ってしまった。

 俺は長老に会うと、彼の差し出した五十音図を指さして、勇者さんを紹介した。

 でもマントで口を被ったままの勇者さんを見て、長老は態度を硬化させた。

 勇者さんと長老が睨み合った。

 そして二人の間に挟まれた俺。

 これじゃ立場がありませんよ、まったく。


「集落を見学させてもらう。いいな?」


 勇者さん、長老の許可も取らずに、勝手に集落の中をうろつき始めた。

 俺、長老と例の商売の話をしようと思ってたんだけど、もう、そんな雰囲気じゃなくて……。勇者さんが何か仕出かすんじゃないかと心配になって、仕方なく後を付いてったんだけど。

 オークの子供たちが勇者さんを見て格好いいと思ったんだろうね。

 彼の周りにまとわり付き始めた。

 そんなところは人間の子供と同じで微笑ましいと思うんだけど、勇者さん、マントにしがみ付いたオークの子供をいきなり突き飛ばしたんだ。


「触るな! 汚らわしい!」


 オークに人間の話言葉は理解できない。

 でも罵声を浴びせられたことくらいはわかる。

 オークの子供、泣き出しちゃったよ。

 他の子供も潮が引いたように勇者さんの周りから離れた。


「フン、(けだもの)めが」


 勇者さんの捨て台詞。

 周囲の厳しい視線もお構いなし。

 オークの小屋を勝手に覗き見るに至っては、傍若無人というか、もう俺の手には負えないって感じで。

 俺、思わず注意しちゃったよ。

 

「ちょっと、それってプライバシーの侵害ですよ」

「プライバシー? (けだもの)にか? ハハッ、笑えるな」

「……」


 駄目だ、こりゃ。

 俺は勇者さんをその場に残して、オークの集落を後にした。

 森の入り口でパトラが待っていた。

 俺を見るなり、


「あれ? 勇者さんは」

「オークの森をお散歩中」

「大丈夫ですか? 彼一人残してきて」

「さあ、どうかな? 案外、生きて帰れねえかも」


……と言うのはもちろん冗談(ジョーク)なんだけど、勇者さん、いったい何を見物しているのやら。

 そんなこんなで小一時間くらいは経ったろうか。

 ようやく勇者さんが姿を現した。


「いったいどこ行ってたんです?」

「……」


 勇者さん、俺の問いかけを無視して白馬に跨ると、


「この近くにゴブリンの洞窟があるとか。案内を頼む」

「……」


 まあ、手間賃もらう以上は案内はしますけどね。


 で、オークの森から小一時間ほど。

 ゴブリンの洞窟に到着したんだけど。


「なんて不快な臭いなんだ」


 洞窟の入り口から立ち昇る異臭に勇者さん、またもマントで鼻を被ってしまったんだ。

 潔癖症なんだろうね。

 まあ、俺も余り長居はしたくないけど。


「この洞窟の奥はどうなっている?」

「行き止まりですよ。最奥まで三百メートルくらいかな」

「なぜわかる?」

「月一で、あいつらにエロ本届けてますから。そのとき洞窟の奥にある古雑誌を回収するんですよ」

「ほう! そんな最底辺の仕事まで(こな)しているとは……。勤労青年なんだな、君は」


 この野郎ぉ~。ふざけたことぬかしやがって!


「いえ、俺は助手ですから。その仕事をしているのは、あなたもご存じのフェイさんですよ」

「……フェイ?」

「この前、あなたが手を取って挨拶した廃品回収業の女性です」

「えっ? あの美しい人が。でも彼女、魔法使いだろ? なぜ廃品回収の仕事なんかしてるんだ?」

「さあ、それは……。今度会ったとき、ご自分で確かめたらどうです?」

「うむ、できればそうしたいものだが……」


 あら、勇者さん、俯き加減に考え込んじゃったよ。

 俺、驚かせるつもりで言ったんだけど。

 もしかして、おねえさんに気があるとか?

 いや、冗談でしょ!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ