表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界最弱のニート様 敵は異世界最強の勇者様? 俺 死亡フラグ回避するために棚ぼた勇者めざします!  作者: 風まかせ三十郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

26/59

第26話 ピクニックだよ 全員集合!

 今日は牛乳工場が保守点検につき操業停止。

 ジイサンもたまの骨休み。

 入院中の吉田さんを見舞うかたがた、街の知り合いの所へ顔を出すそうだ。


「牛の世話は任せたから。そうじゃ、みんなを引き連れてピクニックに行ってみたらどうじゃ?」


 で、俺も暇だったんで、牝牛ちゃんたちを引き連れてピクニックへ行くことになったんだ。


 俺はおねえさんを誘ってみることにした。

 連絡したら、ちょうど休日だったので喜んで参加するとのこと。

 ラッキ~♪

 思わず、神に感謝の祈りを捧げたよ。


 牧場に行くと、乳の張った牝牛から軽く搾乳して、それを煮沸消毒して空の牛乳ビンに詰める。

 隣では美少女形態のパトラが悪戦苦闘してなにかを作っている。

 あれ、なに?

 う~ん、悪魔への供物(くもつ)かな?

 でもあいつが悪魔教に入信したなんて聞いたことねえし。

 あ~、あれ、食パンでなにかを挟んでる。

 なに、なに、あれ、サンドイッチ?

 いったいなにを挟んでるんだ? それって人間の食べ物?

 いや、まさか。俺を毒殺する気じゃ……。


 牧場で牝牛ちゃん一頭一頭の体調を点検する。

 そこでふと思ったんだ。

 遠出するんだから、二足歩行で歩かせた方が早いんじゃないかって。


 近くに桜子ちゃんがいたので「桜子、おいでぇ~」と手招きして呼んでみる。

 試しに両手を差し出して「お手!」と言ってみたら、なんと両前足を差し出して、俺の掌の上に載せたではないか!


 桜子ちゃん、もしかしてモフモフより頭よくね?


 犬モフモフの野郎、「お手!」って言ってもガン無視して、俺の言うことを聞こうとしねえから。

 どうやら犬扱いされることに不満を持っているようだ。

 犬っころのくせに!


 そのまま腰を上げて、桜子ちゃんを立たせてみる。

 おっ、立った。

 背筋をピンと張って、人間の女の子のように立ち上がった。

 ちょっと自分の目が信じられない感じ。

 桜子ちゃんはキョトンとした目で、俺を不思議そうに見つめている。


「さあ、歩いてみようか」


 前足を取ったまま前へ進ませようとすると、あっ、残念! 前足を下ろして元の四つん這いに戻ってしまった。

 そのとき背後でパチパチと拍手が鳴った。


「さすがは天才牛飼い(サモナー)。牛を二足歩行で歩かせようだなんて。並の人間には思い付かねえことをする」


 おねえさんがバスケットケース片手に現われた。

 その瞬間、俺は魂を奪われたね!

 薄い色のサングラスに、白のワンピース、赤のストールを首にかけて……。

 あの魔法使いっぽい地味な服装を見慣れた目には、私服姿は太陽を(じか)に見たような(まぶ)しさに溢れていた。

 

 パトラが露骨に嫌な顔をした。

 こいつ、おねえさんの顔を見ると、とたんに不機嫌になっちまう。

 おねえさんがいるときは、決まって美少女(ロリ)形態で対抗意識をむき出しにする。

 こいつ、以前は”ぼく”なんて言ってたくせに、今は”わたし”なんて言ったりする。

 かえって気持ち悪りぃから、以前の”ぼく”に直すよう鉄拳指導してるんだけど。


 牝牛を囲いから放つと、俺はおねえさんと肩を並べて、群れの先頭に立って歩き出した。

 行先は二キロほど先にある草原。牝牛の大好きなマメ科の草が生えている。

 

 パトラが俺の傍らにすり寄って来やがった。

 俺は言ってやったね!


「おい、牧牛犬。おまえの定位置はあそこだ」


 俺は群れの最後方を指さした。

 あいつ、ふくれっ面して最後方へ歩いていった。


「おい、いいのか? あんなこと言って。モフモフとはいえ、人の言葉が理解できるんだから、もう少し優しくしてやれよ」

「いえ、仕事はきっちりやらせなければ……。甘やかすと、ロクなことになりませんから」

「ハハッ、まさかおまえの口から、そんな台詞が聞けるとは……。ずいぶん出世したもんだ」

「……」


 おねえさんと話すのは久しぶり。

 ここ二週間くらい顔を見せてくれなかったので、見捨てられたんじゃないかと、ちょっぴり不安だったんだ。

 俺が職場に定着したら、急に冷たくなったような気がして……。でもそれは俺の勘違いだったようだ。


 草原に到着すると、牝牛ちゃんたちは思い思いに草を食み始めた。

 今はちょうどお昼時。

 草の上にシートを広げると、おねえさんと二人、楽しい昼食の時間を満喫した。

 おねえさんのバスケットにはサンドイッチが入ってた。

 ハムサンド、卵サンド、カツサンド、それにマンゴーサンドなんてのもある。


「いや、これっすよ! 俺が食べたかったの。一流の料理に引けを取らないこの出来栄え。まさに黄金のサンドイッチと呼ぶのが相応しい! たとえこれが最後の晩餐になろうとも、我が人生に一片の悔いなしですよ」

「よせやい、恥ずかしいじゃねえか」


 おねえさんも満更でもない様子。

 我が人生最良の日!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ