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霧中の君

作者:

 霧の立ち込める谷底にその町はあった。

 反映したであろう廃墟群は岩肌にも関係なく居住地を造り、繁栄していた。

 橋こそ架かっているが川は干乾びて、今では雑草も生えている。

 コツコツと石橋に響く靴の音が心地いい。東の国ではこんな時に叩いて渡るのだったか、確かにこんなに心地いい音が鳴っていれば叩きたくもなるが私は自然な足音の方が好きだ。

 私は歩を進めた。

 やがてビル群が見えてきたがどのビルも一階部分は半壊し、壁やガラス戸は残っているところの方が珍しかった。

 瓦礫に足をとられて歩き辛い。

 そんな時、私の足元以外から瓦礫の擦れる音がした。

 振り向くとそこには黒い影を体から垂らしている人型のモノが居た。人型とはいえ大きさは3メートルほどもあるので当然人には見えないが。

 どこにあるのか分からない目をこちらに向けるとソイツは私に向かって走り出した。

 恐ろしく早いその動きは全身で風を切りながら・・・いや、風の抵抗を無視しながら、あっという間に私との距離を縮めた。

 大きく振りかぶった右腕をおもいっきり私にぶつけた。彼らの打撃はそれだけでも効くのだ。

 隣のビルの壁ごとブチ抜けた私は受け身をとった。

 また制服に埃がついてしまったじゃないか。

 私が肩や太ももをはたいていると、ソイツはまたこちらに走ってきた。

 二度目となれば流石に見逃すまい。

 私は腰にぶら下がっていた片刃の短刀を引き抜くとすれ違いざまに懐を切りつけた。

 影のようなソイツはちぎれかけの身体で倒れ、地面に染みこんでいった。

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