第4話「わたり、あるく」
今回はすこし短めです
宗教国家エルム、西洋の温暖な大陸に位置する。
大陸というだけあって、広大な土地は一層の広がりを見せる訳だが、それを徒歩二日で北上して首都を目指す。
大陸の端から端までを徒歩で移動しようしようとすれば、計一か月はかかるほどの広さといえば距離感も大体つかめるだろう。
第4話「わたり、あるく」
目の前には、まるで爆撃でもされたかのように崩壊した。川横断の為の橋。
「いつ見ても、凄惨だな」
オレの発言に、隣に立つ少女が反応する。
「なにか、あったの?」
答えていいものか、いや、彼女だって歳でいえば大人だ。良いだろう。
「内戦だよ。国家も一柱で構成されているわけじゃない。今はもう随分と鎮圧されたが、いつの時代も戦争することでしか、生きられない人種はいるものさ」
主教国家の過激派、目的は教えを広げることだとのたまってはいるが、やっていることは、不毛な破壊と殺戮でしかない。
「国の各地に破壊された跡がある。改修が追いついてないんだよ」
とはいえ、壊れている以上、普通にわたる事はできない。
「さて、それじゃあ問題だ。この川を全く濡れずにわたりたい。お前ならどうする?」
突然の出題に、少女は首をかしげる。
「答えは――」
「……?」
言葉と共に、少女を抱え上げる。
さらに疑問符を浮かべ、若干困惑している。
オレは気にせずにやりと笑いかける。
「跳ぶ。だッ!」
そのまま走り出し、壊れた橋の向こう岸目掛けて跳躍する。
数十メートル、本来ならば人の身体能力でどうにかなる距離ではないが、その理に反し、少女を抱えるオレの体は勢いを殺さず投げ出され。速度を保ったまま、向こう岸に届く。
「――よっと」
砂埃を舞わせて、綺麗に着地する。
「お待たせしました」
そう言いつつ、少女を降ろした。
「あなた、本当にニンゲン?」
「ニンゲンだよ。まあ、身体強化の魔術はちょいと使わせてもらったけどな」
普段なら、このくらいの跳躍に魔術を使用したりはしないが、念には念をだ。
「ウソ、使わなくても行けたって、顔してる」
む、案外目ざといな。
「いや、それを言うなら、お前だって自分一人でもできたって顔してるぜ?」
意思返しではないが、言ってみるとなぜだか少女は表情を緩ませた。
「……だったら、お互い様だね」
明確な笑顔は数度も見ていない。
なにが、そんなに嬉しかったのかわからない。でも、そんな顔もできるじゃないかと、こちらまで安心したのは秘密だ。
「だな」
よし、問題も解決したことだし先を急ぐか。
「そんじゃあ、行くぞ」
少女は後ろをついてくる。
この感じ、以前の自分を見ているみたいだ。
いや、そう難しい事象でもないか?
―単なる似た者同士―
次回は7月28日にしたいと思います!




