表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
彼と彼女と4つの季節  作者: 井上まどか
秋のストーリー
4/15

プレゼント

香澄にとって今夜は、久しぶりに千晶と一郎に逢える特別な夜。


七色に輝く東京タワーは何だかとても特別で、ちょっぴりブルーな気分になっていた香澄を充分勇気づけてくれた。


もしかしたら、定刻通りに店に入っていたら気がつかなったかもしれない。


香澄は遅れた千晶と一郎に軽く感謝した。

いつもとは一味違う景色を見ることが出来て、何だか得した気分だ。


そう。

香澄はとても単純なのだ。

小さなことでも感動して喜ぶタイプ。

そして、バカがつくほどのお人好しなのだ。


だからこそ、いつも千晶の引き立て役になってしまっていたんだけど…。


けれど、

そこがまた彼女の良いところでもあった。



香澄は七色の東京タワーから特別なプレゼントを受け取った気分になれてとても嬉しくなり、


(今日の記念、ゲット~♪)

と写メを撮って喜んでいた。


その時には、さっきまで気に病んでいた自分の服装のこともまったく頭の中から飛んでいた。


その時は

ただ、ただ…


“もうすぐ会える!”


そんな喜びでいっぱいだった。



ひとりでブラブラ歩く

夜の街もとても楽しい。


少し歩いていくと、ある雑貨屋のショーケースに目が留まった。大小いろんな顔の形をしたオレンジ色のカボチャのイルミネーションがとても可愛い。


店内を覗いてみると、中にも洋服やら小物やら、いろんな商品が置いてありそうだ。


香澄は興味を惹かれて入ってみることにした。


カランカラン…


店名が描かれたガラス戸を開けると、店先のドアベルが美しいハーモニーを奏でて、香澄を迎え入れてくれた。


「いらっしゃいませ~」


他のお客様の応対をしていた女性スタッフが明るい声で挨拶をする。


香澄は軽く会釈して、早速店内を物色した。


可愛らしい日本製の小物だけでなく、お洒落な外国製の鏡や照明、時計等もセンスよく置かれていた。


(あっ!…そうだ!)


見ているうちに香澄はふと思い出した。

数日前は一郎の誕生日だったのだ。


(何か買っていってあげたいな…)と思い、奥の方まで見て歩いた。


すると、品の良いワインカラーのネクタイに目が止まった。


値札をチラリと見て、財布を開けて小さな溜息をついた。

今日の飲代を考えると、予算が足りない。


それに、ネクタイとか身につけるものは結婚している一郎にとっては迷惑かもしれない。


(一郎にふさわしいプレゼントはないかな~)


香澄は迷った。


結局、色々と考えた末、小さなジャック・オー・ランタンのランプを買うことにした。


(よし、これならいいかな)


手のひらサイズのオレンジ色のカボチャは笑っていて、とてもお茶目な顔だった。電池のスイッチをオンにすると点灯する。


その可愛さもさることながら、ランプの灯は周りのオレンジ色を優しく引き立たせ、見ているだけでほっこり心が温まってくるようだった。



挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ