登校
ここはチンパン学園。
チンパンジーのチンパンジーによるチンパンジーのための学園である。
もちろん俺もチンパンジーだ! まあ、ここだけの話、俺元人間だけど・・・。
お日様は輝いてる。今日も元気に登校だ!
「ウキキー!(おはよー!)」
俺はクラスのみんなに挨拶したが、完全無視だ! みんな後ろ向いてやがる。絶対ゆるさねー!
覚えてろ! 俺はそう言って席に座ってやった。
そして10分後。今はこのウキウキうるさい教室で先生が来るのを待っている。
にしても、いつまで話してんだ後ろ向いてるやつら。うるせー!
「ウキキー!(なあドラクエ11やったか? あれおもろいよなー)」
「ウッキー!(俺なんかもう3レベだぜ!)」
「ホワッホワッ!(は?ヤバすぎだろ!」
どうやらクラスのチンパンどもは昨日発売したドラクエ11の話で大盛り上がりらしい。
俺が持ってないからってあいつら・・・。
それにしても美女のタケコ先生はいつ来るんだ?
ガラガラ。
お、噂をすれば。
「みなさんキーッ! ウッホウッホ! ホッホッホ! キーッ!(みなさん宿題はやってきましたか?)」
先生は教壇に立つとつばを飛ばして言った。
当然俺はやったが、それを聞いたクラスのやつらはいっせいにブーイングを浴びせた。
「キーッ! ウッキーッ!」(宿題? そんなの聞いてません!)」
「ウホホ、ウホホ、ウホホ(ドラクエ11が宿題ですよね!?)」
「ウッホー!(そんなことよりうんこ食べさせろ!)」
「ウホーッ!!!(ふざけんな! 宿題なんて出すヤツが悪い!)」
うわ、1人変なこと言ってるヤツがいるよ・・・。
逆ギレしてるやつもいるし・・・。
しかし、まともに宿題をしてきたヤツは1チンパンもいないのかよ。
まともに話をきかない生徒のせいで、タケコ先生は涙目だ。
やれやれ・・・。ちゃんとやってきたのは、俺だけか。
俺は仕方なく手をあげてやった。
「キーッ!(はい! やってきました!)」
「お! チンパン太郎君、流石ですねー!(以下チンパン語省略)」
「当然です」
俺はフッと短めの髪の毛をかき上げた。
俺のおかげでタケコ先生の涙も引っ込んでいく。
「すげー!」
「さすがだ!」
「やっぱチンパン太郎はヤベー」
周りの奴らは俺のすごさに驚いている様子だ。
しかもクラス1の美少女マユコちゃんまで!
俺は頬がポッとあかくなった。
ふっ・・・どうやらやっと俺のすごさに気付いたようだ。
これで俺がクラス1のチンパンジーになることも夢じゃない!
そう思っていると。
「でも太郎君、ウンコついてますよ」
先生にぼそっと言われ、尻を触ったら朝出したウンコが!?
「ハハハーバカなやつだ!」
「恥ずかしープークスクス」
「やっぱ太郎はだめだな」
みんなの笑いものにされた! バカヤロー!