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どうやら、新たな出会いらしい

 後半、また新キャラ登場です。濃い。

 ブニャブニャと不満を漏らしながらも、自分用の朝飯を食べ進めていく程度には二日酔いもマシ(・・)になったらしい。それでも普段の食事風景からしたら勢いが無い。

 もっともそれは、昨夜の夕食の美味さからの朝食の味気無さへの変化による不満から来るものも大きいのだろうが。


「んで、コイツの朝飯が終わったらどうすんだぁ?」

「んぁ〜……次の予定は午後からだったか。早めに着くようにはしても、まだ一刻程度は時間が余るな……。いっそ寝直すか?」

「それで寝過ごしたらどうすんだヨ。寝坊なんてくだらねえ理由で依頼放棄なんてしたくねえゾ」

「リュシアンの言い分はもっともですね。と、するならば……買い出し、も今は必要ありませんしね」

「もるごぐまー!(おえおうぅい!)」


 唐突にロラン達の会話に入り込んで来たのは、自分の朝食を食べていた筈のブサだ。

 口一杯に食べ物を含んでいるせいで何を言いたいかは一切不明である。猫語なので元々理解不能だが。


「猫語かすらも分かんねぇーっ!」


 ブハッ、と噴き出しつつ言うのはサミュエルだ。

 そのまま笑いを堪えるように机に突っ伏し、突っ伏した頭の上にロランの腕が乗せられてジタバタともがく。

 サミュエルの頭に置いているロランの腕には青筋が浮かんでいる。それというのも、サミュエルが噴き出した瞬間にロランのカップに残っていたお茶に唾液が飛んだからである。汚い。


「お前はまず飯を食え。その後で俺の部屋に集合」

「はい」「うーイ」「俺の頭から腕をどけろっつの……うごっ!」


 もがくサミュエルを全く気にせず、淡々と今後の予定を告げるロラン。それに続いてスルーするアンリとリュシアン。

 最後には手のひらで頭を力強くテーブルに落として黙らせる。ゴンッ! と良い音がした。

 なお、その瞬間にフランシスがチラリとこちらを振り向いたが、テーブルに傷は付いていないと見たのか、何も言わず仕舞いであった。フランシスにとっての重要度は『サミュエル<テーブル』である。

 しかし、テーブルが傷付いたかどうかなど、それだけ離れてて良く分かるものだ。音で判断しているのか?


 返事の無いブサはと言うと朝食を終えてからと聞いて、そのまま急いで朝食を食べ終えようとして喉に詰まらせ、助けを求めて前足で地面をひたすらタップしていた。……段々とその動きが弱々しくなっているのに、誰か気付いてあげて欲しい。

 いっそ爪で床を引っ掻けばフランシス辺りが即座に気付くのだろうが、生憎と猫には肉球があるので、床をタップしたところでタフタフと微かな音しか聞こえては来ず、さらにその微かな音も周りの雑音に紛れてしまい、ロラン達の耳には全く届いていなかった。唯一気付きそうなサミュエルは頭をテーブルに打ち付けられて悶絶していたため、気付く余裕は皆無だった。

 アンリは……何やらトリップしているようだ。恐らく夜の事を考えているのではないだろうか。誰も今のアンリに話し掛けようとはしない。


 シーン……


 遂にタップする気力も体力も無くなり、静かに痙攣するのみとなっていた。

 お願い、早く気付いて……と力尽きる最期の瞬間に考えていたかは定かでは無い。


 カリ……


わぁ(・・)の店傷付けるやつぁどいつじゃぁ!! ……ぉん?」


 残りの気力を振り絞ったか、あるいは偶然か。微かに立てた爪が床を引っ掻く音に気付いて怒鳴り込んで来たフランシスはブサにとって、間違い無く救いの神だった。自身をこの世界に送り込んだかもしれない神よりも余程。


「……おまぁら、足元見た方がえぇぞ?」

「「「「ブサ!?」」」」


(やっと気付いたのかよ、役立たずの筋肉ダルマ共……)


 意識が遠のくその瞬間まで、悪態を吐く辺りどうしようもない(おとこ)である。

 そもそも、喉に詰まらせたのは無駄に急いで食べようとしたのが原因の、完全な自業自得である。



 * * * * * * * * * *



「ぅぐにゃっ!?(はっ!?)」

「お、わりと復活早かったなぁ」

「ぎな?(は?)」


 ブサが目を覚ましたのは、とりあえず部屋に戻ろうと、ブサを抱き抱えて移動している最中であった。

 そんなブサの視界に入るのは自分を覗き込んでくるサミュエルの姿。その奥には、何やら隣り合って歩きながら話しをしているロランとリュシアンの姿が見える。


(……と、すると……俺を捕獲している、このやたらと太くてムキムキしい暑苦しそうな筋肉の塊は……)


 ブサにとっては『抱き抱える』では無く、『捕獲』らしい。

 実際にその抱き方はとても安定してはいるものの、抱えたその手でシッカリとブサの前足を掴んでおり、逃げようとしても逃げられそうに無い抱き方であった。後頭部から脇腹に掛けて感じる相手の硬い胸筋。

 背中に添えられた手もブサを落ち着かせるためでは無く、逃げないように押さえ付けるためのものに思えてくる。


 ものの捉え方一つで変わるものである。


 チラッ


 筋肉の感触を全身に感じながら、信じたくない気持ちで自分を捕獲(・・)している人物を確認する。……確認するも何も、ロラン達は四人パーティーで、目の前にサミュエル、ロラン、リュシアンの三人がいる以上、残っているのは一人だけなのだが。


(そ……そうすると、この、腕の……持ち主、は……)


 昨日までのトラウマにより全身がガタガタと震え始める。

 自身を抱えている人物も突然の変化に驚きの声を漏らす。ドス低い声。だが、その声は聞き覚えの無い声である。

 まず視界に入ったのは服の上からでも分かる、綺麗に割れた腹筋。

 そして、その上にそびえる二つの山。


(……あ?)


 何やら認めたくないものが見えた気がする。ショックのあまり全身の震えが止まった。

 驚きも一周すると冷静になるものだ。

 もう一度、自分を抱える腕を見る。筋肉。太い。ムッキムキである。だが、良く見ると毛の処理はきっちりとされていた。

 体の下を見る。生足。ただし、やはりムキムキしい。そして、やはり毛の処理が……。

 心を落ち着けるべく大きく深呼吸してから覚悟を決めて、背後の人物を振り返る。やはり、最初に目に付くのは腹筋。そして二つの山。


(いやいやいやいや……)


 視線がキョトキョトと動く。どこを見ても筋肉。前も後ろも。


「ブサ? どうかしましたか?」


 ひょこっと、斜め後ろからアンリの顔が出て来た。思わずビクッとする。


「こら! あんたは顔が怖いんだから、急に声を掛けたらこの子が驚くじゃないかい! もっと、そっとしてあげないとだめだよ?」

「す、すみません。私から逃げようとしない猫は初めてだったので……」

「だからといって、グイグイと押しまくったら逃げるわよ。女も猫も、押すだけじゃだめよ?」

「は、はい……」


 声がドス低い(二度目)。

 話し方を聞くに女性っぽいが、全身の筋肉がどう見ても男性だ。それも、下手な男性よりもムッキムキである。下手したらロラン達よりもムキムキなのでは無かろうか?

 背後の人物の性別は……


 第一候補:男性

 第二候補:女性

 第三候補:オネェ、あるいはその類

 第四候補:人外


 この選択肢の中のいずれかだろうが、果たしてどれなのだろうか?

 ヒントは女性言葉・無駄毛処理・二つの山。トラップとしては筋肉とドス低い声。


(俺としては第四候補の『人外』を選択したいぜ……)


「ぎ、ぎなぁ……?(で、てめぇは誰なんだよ……?)」

「あら! 不細工って聞いてたけど、可愛い顔してるじゃない! 声も凄く可愛らしいわぁ!」

「「「は!?」」」「そうでしょう?」


 驚くロラン達と安定のアンリ。

 そして、やはり話し方を聞く限りでは女性である。声の低ささえ気にしなければ。

 

 それにしてもこの謎の人物、やけにロラン達とは親しげである。この人物は一体誰なのか?

 未だに筋肉のインパクトが強すぎて、顔を見る決心の付かないブサであった。

 さて、この人物の性別は? そして正体は??

 答えは次話。


 濃ゆい人って、どうしてこうも書くのが楽なのか。

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