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どうやら、解呪の道が見えたと思ったら遠ざかったらしい

 テオドールとロラン達は仲良しです。強面仲間、というだけでなく実力者でもあるので。

 有能な人には好意を、無能な者には無関心を。

 テオドールの言葉を聞いて、ブサの瞳孔が開く。

 ギルドマスターとロラン達の話で、テオドールがブサの正体が人間であるという事に気付いていると言われていたが、それが証明された瞬間だった。


「気付かれていないと思っていたのかな?」

「その事についてはブサはもう知っていますよ。ギルドマスターも交えての尋問で話しましたので」

「……尋問、か。ブサ君に手荒な事はしていないだろうね?」

「肉体的には何も。精神的には、少々プレッシャーを掛けましたが」

「ふむ、まぁ、その位は仕方ないだろうね」


 テオドールは犬・猫、一般人には優しい。

 盗賊に対しては苛烈だが。テオドールの馬車をうっかり襲った盗賊の末路を思い出せば分かるだろうが。

 ちなみに、あの盗賊達は負傷の度合いが酷い者は処刑、ある程度の負傷で済んだ者は犯罪奴隷行きであった。


(少々なんてレベルじゃ無ぇよ! 死ぬかと思ったわ!!)


 心の中で思うも、口に出す事は無い。猫語ではロラン達には分からないし、文字表を使えば言いたい事は伝わるが、そんな度胸は無かった。


「……それはそれとして、ギルドでは妙な騒ぎに巻き込まれたらしいね?」

「あ~、あれナ……」

「テオドールさんは、ギルドマスターからどう伺っていますか?」

「とあるパーティーに絡まれたので、私の所へ来るのが遅くなると。しかも、そのパーティーには重犯罪者も混じっているとかね。ついでに、そのパーティーリーダーの名前が君と同じ名前だとか」

「……そこまでギルドの使いが話しましたか?」

「いや、犯罪者以降は私個人の調べだがね」


 ギルドから使いが来たのはほんの小一時間前だというのに、そこまでの調べが済んでいる事が恐ろしい。商人は情報に敏感でなければいけないが、テオドールの情報網は並ではない。


 テオドールの言葉に思わずアンリの顔も引き攣るが、テオドールに悪気は一切無い。その証拠にテオドールの表情はアンリに同情的だ。


「まぁ、テオドールさん、その事についちゃぁその辺にしといて下さい。また後でギルドには行かなければならないので」

「ん? そうなのかい? では、なるべく手早く済ませるとしよう。それでは話を戻すが、ブサ君は『人間』で合っているよね?」


 テオドールにそう尋ねられ、力強く首を上下に動かすブサ。毛がバッサバッサと舞う。テオドールに向き直した時には目元は完全に毛で隠れ、何も見えなくなっていた。

 苦笑いをしたサミュエルに目元を隠した毛を払われ、再び前が見えるようになると、テオドールが指したテーブルの上には数冊の本が乗っていた。


「ここにあるのは、私が個人的に集めた本だよ。特にこれらは呪いに関するものだ」

「……何で、そんなもんをテオドールさんが持ってるんですかねぇ?」


 胡乱気に尋ねるサミュエルに、テオドールがあっさりと答える。


「商売の一つとして、だよ」

「呪いがかぁ?」

「さすがにそれは。本を集める事が、だよ。好事家の中には希少な本を求める者もいるからね。後は、なかなか手に入らない商品を見つけるネタにもなるからね。解呪の材料とか」


 さらっと失礼な事を言うサミュエルに苦笑を返しながらも、気にせずに話しを続ける。失礼な事をぬかしたサミュエルは、テーブルの下で他のメンバーから蹴り飛ばされて涙目になっていた。


 解呪の材料、と聞いてブサの耳と尻尾が大きく動く。

 それを見たテオドールはもったいぶる事無く、その内の一冊を手に取るとページを捲り、目当てのページを開くとそれをブサに指し示す。


「動物化の呪いについて書かれている箇所だね。ほら、ココだ」


(何々? ……なるほど、読めん!)


 先程ギルドの中で判明したブサが字を読める事実だが、何故かこの本に書かれている内容はさっぱり読む事が出来なかった。


「失礼します。私にも見せて貰ってもよろしいでしょうか?」

「ん? あぁ、構わないとも」

「それでは、失礼します」


 アンリはそう言うと、今まで座っていたソファーから立ち上がり、ブサの居るソファーに移動する。そこに腰を下ろすとブサを抱え上げ、膝に乗せて本を読み始めた。

 思わずブサとロラン達が硬直する。テオドールからは不機嫌そうな気配が流れてきた。


「……わざわざ膝に乗せなくても良いのではないかね?」

「ブサと私が同時に本を読むならば、この方が効率的でしょう。しかもどうやら、ブサにはこの本は読めないようですから」

「……それだったら私が読んであげよう。それならブサ君も読めるだろう?」

「それですと私が読む事が出来ませんので」


 バチバチっとアンリとテオドールの間に火花が散る。ちなみにブサは硬直したままだ。

 唯一硬直の解けたリュシアンが呟く。


「……お気に入りのおもちゃを取り合う子供かヨ」


 言い得て妙だった。



 * * * * * * * * * *



「やぁ、大人気ない真似をしてしまったね」「見苦しいところを見せました」

「「「全くだな(ナ)(ぁ)」」」「ブニャ(俺を巻き込むんじゃ無ぇよ)」


 しばらくして周りの白い目に気付いたのか——なお、この場合の白い目は白目を剥いている訳では無い——テオドールとアンリが落ち着きを取り戻す。二人して謝るもブサとロラン達の対応は冷ややかだった。騒いでいた二人が身を縮めるが、元の図体が大きいので殆ど変わらない。


 深く息を吐いて気持ちを切り替えたロランが二人に問う。


「んで? ブサの呪いを解くにゃあ、どうすれば良いんだ?」


 ロランの言葉に、パッと顔を上げる二人。そして話し出すのは同時だった。


「「それはだね(ですね)」」

「テオドールさん、頼む」

「ん、あぁ、分かったよ。ブサ君の呪いは動物化のものと仮定する。呪いの特定は難しいからね。いくつか当たりを付けて解呪をするんだ。今回は動物化で間違い無いと思うけど」


(ふーん? 一発で分かるもんじゃないのかね。ゲームだとステータス見りゃ一発だけど)


 同時に話し始め、互いを睨み合う二人だったが、ロランがテオドールに説明を頼んだ事で勝負は着いた。

 アンリが不満そうに口元を尖らせるが、強面禿頭ムキムキマッチョのアヒル口など誰が見たいのだろうか。皆、一斉に目を逸らしていた。


 一方ブサは、テオドールの言葉に首を傾げる。それに気付いたテオドールが、ブサが疑問に思っているであろう事を説明する。

 一応この世界にも相手の情報を見る術はあるのだが、その手の魔道具は国が抱え込んでいるために出回る事は絶対に無い。

 また、相手の情報を知る能力を持つ人間もいるにはいるが、そちらも国が全員抱え込んでいる。もっとも、この国全体でも数人しかいないが。

 ちなみに、道具を鑑定する魔道具なら稀に市場に出る事はある。非常に高額だが、商人には垂涎の品だ。ちなみにテオドールもいくつか持っている。


「それで、解呪の材料なんだけれどね……」


 テオドールから聞いた解呪に必要な材料は、ブサが聞いた事があるような物もあれば、全く聞いた事が無い物もある。マンドレイクの雌型など、雌雄ある事なんて初耳だ。

 ドラゴンの血液と聞いた時には興奮を抑えられない程であった。

 テオドールから聞く材料に、ロラン達の顔がどんどん引き攣っていく。もしも、それら全部を手に入れようとしたらどれだけの金額が掛かるのか。金銭感覚の分かっていないブサ以外には、とてもじゃないが平常心でいる事は不可能だ。


「うし、諦めるか」

「だナ」「こりゃ無理だなぁ」「ですね」

「ふしゃぁぁぁ!(ふざけんなぁぁぁ!)」


 あっさりとブサの解呪を諦める発言をしたロラン達に、怒りの声を上げる。

 そんなブサを気の毒そうにしながらも、アンリが説得するような言葉を選んで話し掛ける。


「まず、材料を集める事が不可能なんですよ。材料によっては海を渡らないと手に入らない物もありますし、ドラゴンの血液なんて市場では手に入りません。手に入れようとするなら、自力で倒すしかありませんが……私達では不可能です」

「それとも、てめぇが人間に戻るためなら、俺らは死んでも良いとでも言う気かぁ?」

「サミュエル!」

「本当の事じゃねぇかぁ。俺らじゃドラゴン相手は無理だからなぁ、死ぬのがオチだろぉ?」

 実際にポーションやら、エリクサーやらの中身って何でしょうね?

 某映画ではナメクジ使ったりもしますし、単純に薬草だけでは無理があるような。

 ナメクジ入りの薬は嫌ぁぁぁぁ……!


 という訳で、この話では色々材料が必要です、という設定。薬の効果を安定させたり、副作用を緩和させたりするのに色々使います。


 材料名に関しては、どうしましょうね。考えるの苦手です。


 3/14 少し加筆修正しました。

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