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どうやら、???は……

 これが本当の最終話です。

 どうやら、随分と面倒な事になったようだ……。


 ???が管理している地球の、日本のとある場所。その地点には妙な揺らぎ(・・・)が出来ていた。

 調べてみたらソレは人の手によるものであり、それを成したのが年端も行かぬ少年と知った。どうやら、妙な鬱屈を溜め込んでおり、いかがわしい儀式に無差別に手を出しているらしい。その結果、中途半端に相互作用し合った末に揺らぎへと繋がり、これを放置すれば厄介な事になりかねない。

 仕方なく、仕方なく(・・・・)???がその少年に接触してみれば妙な事を叫び出した。


「異世界転生来た――――――!!」


 何の事だ、それは。


 聞いてみれば、理不尽な目に遭っている自分を助ける為に???が接触して来たのだと。???は自分を助ける『神』なのだと、少年は言い張る。

 神は神でも少年の望むソレとは全く違うのだが、その少年はこちらの言い分を全く聞こうとしない。自身の都合の良い事しか聞く耳を持たないようだ。


 仕方なく???は少年の望むように神と名乗り、少年が行っている儀式をやめるように警告した。

 だが、少年はこちらの警告を無視して、自分を異世界に転生させろと言い募る。あまつさえ、自身の望みが果たされない内は儀式をやめるつもりは無いとも。


 ???を相手に脅すとは、不快な塵だ。


 そうは思えど、地球の管理を担う一端としてはコレを放置する訳にはいかない。

 コレの言う異世界も存在しているが、ぬるま湯に浸かり切ったこちらの人間が生き抜ける筈も無い。それを告げれば、心底不思議そうにソレは言い放った。


「は? だから、神様がオレが生きれるように能力をくれるんでしょ?」


 ???がそうするのが当然だと言わんばかりのその態度。


 何故、そんな事をせねばならない。


 再び不快な感情に包まれるが、感情を押し殺して再度儀式をやめるように警告し、異世界の危険性を教えてやった。


 全てに対して受け身で、ひたすらに自身の不条理を嘆くばかりで、自ら動く気概も無い塵を救わねばならない義理も無い。


 そう告げると、???はソレの前から姿を消す。???が姿を消す瞬間、塵が何やら喚いていたようだが、???は気にも介さなかった。


 だが後日、???は自らの対応を間違えたのだと知る。(くだん)の塵は、???の考えていた以上の歪んだ精神をしていた。


 ……何故歪みが大きくなっている!?


 複数の世界を管理していたから、などとは言い訳にしかならないが、???がほんの少し目を離していた隙に、地球の歪みがさらに拡大していた。それこそ、最初に見つけた時の数倍以上に。

 調べ直すと、やはりそれを成したのはあの塵であった。儀式をやめるどころか、さらにアレコレと手を出しては中途半端のままとし、あまつさえ複数の人間に死を齎していた。それだけでなく、今この瞬間にも他の人間の人生を脅かそうとしていると気付いた。


 慌てた???がソレを止めようとするが、ほんの僅かに間に合わずソレは肉片へと化し、霊体となったソレの哄笑が響く。その瞬間に歪みが一気に増大し、その一端がソレが運命を狂わせた人間にも及びかけたところを見てソレ自身を歪みの核とし、自らの領域に抱え込む事で間一髪だったが地球の歪みは正された。


 安堵の息を吐く???の前でソレは笑う。


 どうだ! オレは何でも出来る! 人を殺す覚悟だってある!!

 さあ、オレを異世界に転生させろ!! と。


 ???は頭を抱えたくなった。

 目の前にいるソレは、もはや歪みの塊でしか無い。内包した力をそのままに転生させる事など不可能。

 奇しくも、ソレの願い通りに歪みの力を消費して力を与え、まだ余裕のある異世界へと放逐するしか無かった。とはいえ、コレを放逐するなど怖気(おぞけ)が走る。


 自らの欲望を満たす為に歪みを作り出す人間。そんなモノを放てばどうなるか……。

 そんな事は百も承知だが、このままにしておく事は不可能。封じられれば一番なのだが、数多の歪みと人の怨念が絡み合っているコレは封じたところで、いつか害となるのは確実。


 仕方なく、本当に仕方なく、???はソレを転生させる処理へと移る。

 少しでも歪みの力を減らす為に、歪みを消費して能力を与えて行くが、ソレの望む能力もまた、歪みだらけであった。


 人の精神を操り、自身に好意を持つようにさせるなど……コレは本当に人間か!?


 元々の人格がそうだったのか、歪みを内包してさらに狂ったのか、ソレの望みには際限が無かった。

 ???にとって不幸だったのは、ソレが歪みの塊となってしまったせいでソレが望む能力を与えてもまだ力が有り余っている事。


 精神を磨耗させながら全ての処理を終えた後は、ソレを転生させる手続きに入る。

 最後までコレを転生させる事に不快感を持っていた???は、自身の権限を超えてソレから残った力のみを取り出した。ソレに狂わされた人間達への補填とする為である。

 

 その結果、ソレは歪みの核と数多の能力、???の呪いを持って転生して行った。正確には、死した人間の体への憑依だが。

 それと、呪いに関しては???の独断だが、アレに狂わされる異世界人を少しでも減らす為であった。


 アレの望んだ『魅了』の力は強力であるが故に、周囲に及ぼす結果も大きい。歪みを新たに作る訳にはいかない。

 その為に、『魅了』の力が及ぶ範囲を限定させた。すなわち、アレと近しい性質を持つ人間に。ただし、アレの憑依した体に好意を持つ者であれば一部影響を与えてしまう。盲目的にならなければ影響はすぐに消える筈なので、大丈夫だろう……と考える。大丈夫、な筈だ。


 アレの消えた領域で大きく息を吐く。

 だが、これで終わりでは無い。アレの後始末が待っているのだ。

 とはいえ、少しは休んでも良いだろう。最後にアレに狂わされる事になった人間の魂を待つまでは。


 しばらくは、仕事、したくない……。


 そう考えても仕方ないだろう。丁度良いタイミングで死亡した地球の猫の魂を呼び寄せて、ひたすらモフる。ぎにゃぁ、と迷惑そうに鳴かれたが気にせずモフる。


 これは、ハマる。



**********



 数日後、最後の魂が揃ったところで先に死んだ魂達を呼び寄せた。

 不本意ではあるが、アレの時と同じように自身を『神』と偽った方が話がスムーズに行くだろうと考えて、今回も自身を『神』と名乗る。その目論見は成功し、その魂達は???の言い分を素直に信じたようだった。少しだけ、気が楽になる。


 アレの暴走には???自身の不手際もあった故に、その補填として異世界に望む生を受けられるようにすると魂達に告げる。すると口々に望みを言う魂達。???にとっては容易い内容だ。

 妙にヘタレな反応を示す魂は???の知る神と少し似ている気がして、ほんの少し……ほんの少しだけ、他よりも力を与えた事は否めない。まぁ、許容範囲内だろう。


 だが、四つの魂の一つの願望で???の感情は振り切れた。すなわち、怒りへと。


 貴様も、アレと同じ事を望むか……!!


 際限無く欲望を告げるソレに静かな怒りを燃やしていると、ヘタレな魂がソレを窘める。その事に少しだけ気を持ち直したが、次の瞬間それも全て吹き飛んだ。


「絶対に働くなんざごめんだから、働かないでチヤホヤされるようにしてくれ!」


 死ねば良いと思う。


 ???が今働いているのは何なのかと。確かに自身のミスはあったが、中には『ゴメンね(てへぺろ)』で済ます神もいるのに、自身はこうしてキッチリと筋を通しているにもかかわらず、この言い草。


 本当に、死ねば良いと思う。


 もう死んでるけど、と自身の冷静な部分が囁くが???の怒りは止まらない。


 そんなに働きたくないのなら、いっその事猫にでもしてやろう!!


 怒りの余波でその魂が気を失った瞬間「ヤベッ」と思ったが、素知らぬ顔で話を進める。この後、またあの猫に癒されようと考えながら。

 何故、猫なのか? 自分が猫派だから。


 人に転生させる二人は良いとして、エルフに転生させるこのヘタレな人間は、能力も含めて少々説明が必要だ。

 二人を早々に転生手続きへと回すと、その二人はそのまま光と共に消えて行った。その事に慌てるヘタレを見ながら少し和む。


 その後、ヘタレと話す中でそこに転がるアレに恩がある事を聞き、信じられないと思いながらもヘタレの願いを聞いてやる事にした。……凄く感謝されたので、もう少しだけオマケしておく。さらに感謝された。ナニコレ和む。


 ホッコリしながらも???はいつしか愚痴を言い始めていたが、ヘタレはそれを遮る事も無く相槌を打ちながら聞いている。気付けば少々長居させ過ぎたようだ。

 名残惜しいがヘタレの転生手続きに移る。先の二人と同様に光に包まれながら消えるヘタレに、良き生をと願う。???が特定の人間に肩入れするのは良くないのだが、癒しを求めたって良いじゃない。


 その場に残されたソレを見ながら溜め息一つ。

 次はコレも転生処理させねば……と考えていたところで、足元にモフリとした感触が纏わりつく。見下ろせばその正体はあの猫で、何かを訴えるように???を見上げてくる。

 ???にとっては、猫の願望を聞くなど容易い事だ。モフるのをそろそろやめて欲しい、という願いだけはなかなか聞けないのだが。

 

 どうした?


 屈んで猫に尋ねれば、自身も転生したいのだと言う。思わず動揺した。

 慌ててここの暮らしが嫌になったか、と聞けばそうでは無いと返ってくる。ならば何故? と尋ねると、(つがい)が欲しいのだ、と言う。


 詳しく聞けば、猫は『地域猫』とやらで以前捕獲された際に去勢されて生殖機能を失っているのだとか。望まれずに死んでいく猫を増やさぬ為とは言え、当猫達からしたら望んだ事では無いだろう。

 だからこそ、転生後はメスにモテたい。交尾がしたいと。


 他でも無い、猫の頼みだ。???とて叶えてやりたいが……と悩む。

 正直なところ、猫は???にとって癒しと化していたが故に離れがたい。だが、願いは叶えてやりたい。相反する感情に悩む???に、猫が言う。


『ソレの体に自身を使う事は可能か?』


 可否で言えば『可』だ。だがそれをすれば、猫の精神はコレに乗っ取られるだろうと告げる。

 それでも良い、と猫は言う。猫の望みは硬かった。


 ならば、と???は猫の望みを叶える。アレから奪った力の一部を、猫の望みが叶うようにと。


 モテモテにしてやろうではないか!!

 精神を操る? 何を言っているのかね。元々、この猫は非常に愛らしいではないか。ならば、モテるのは当然だろう!!

 

 開き直った???は強い。既に老年期に差し掛かっていた猫を人であるソレの年齢に合わせて若返らせる。毛並みがさらに良くなった。

 名残惜しい……と最後にモフる。ぎにゃぁ、と迷惑そうに鳴かれた。地味に凹む。


 人と猫を合わせるのだ。転生には時間が掛かるだろう。意識は無いが、その間はモフり放題だと自身を誤魔化し、転生手続きに入る。

 最後に猫が呆れた顔をしていたが、意識を失う瞬間ぎなぅ、と鳴いた。願いを叶えてくれてありがとうと。思わず爆涙(ばくるい)した。

 猫の優しさに触れて怒りも僅かに治まる。少しばかり男に厳し過ぎたかもしれない。もしも、心の底から真剣に生きようとするのなら……少しだけなら加護を与えてやらないでも無い。ツンデレか。


 転生準備に入り、クタリと動かなくなった猫を優しく撫でると、最後に残った魂を転生させる為に呼び寄せる。

 やはり『神』という設定の方がスムーズに行くようなので、次も同じようにしよう。次に呼ぶ魂がアレらと同じ性格で無い事を願いながら……クルリ、と振り向く。硬直した。


 ……何かぁ……見覚えない魂がいるぅ……。なぁにぃ? これぇ……。


 思わず口調が乱れる程に混乱した???の受難は終わらない。

 最後は???視点でした。自称・神じゃないって言ってるけど、限りなく神に近い存在。本当の神もいます。


 少年がやらかしたのは呪術盛り合わせ、クトゥルフ寄せ。黒魔術に蟲毒、ヴードゥー、丑の刻参りなどなど。思い付く限り片っ端から手を出した感じです。多分、独りかくれんぼとかもやらかしてたりする。


 ちなみに地球の神様だって普通に呪うし、祟るし、やりたい放題。それに比べたら、猫にしちゃうのなんて普通だよねっ☆ 俺、神じゃないけど!(ぶち切れテンション)


 イラッとしてやった。反省も後悔もしていない。


 何故猫なのか。猫派だから。

 そして最後に出て来た魂は、トラックに巻き込まれたどこかの猫。誰だろうねー。ヴニャァ。




 最後の方は駆け足となりましたが、7月中に完結に持ち込む事が出来ました。所々で書き切れていないところもありますが、今は完結に漕ぎ着けた感で一杯です。

 猫又の合間に書き始めたコレがここまで長くなるとは正直思ってませんでした……。


 何はともあれ、最後までお付き合い頂きありがとうございました!

 猫又はまだ続いてますので、そちらを引き続きお楽しみ頂ければ幸いです。

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