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どうやら、本格的な迷宮探索が始まるらしい

 最後の方に超有名どころの衛生害虫が出て来ますので、お食事中の方はご注意下さい。苦手な方もご注意下さい。

「うーし、今日こそは迷宮行くぞー」

「昨日のはノーカウントか」

「あんなもん、太刀打ち出来る訳ねぇだろぉ?」


 流石にアレは想定外だろう。

 元よりほんの様子見で迷宮に入る積もりだったのだが、内部の惨状にロラン達が見ない振りをして全力で撤退したのは無理も無い。女性怖い女性怖い女性怖い……。


 昨日は食堂で店員から、今日は早朝からギルドに赴き迷宮の情報を集めてみた。もちろんブサが早朝に目を覚ます筈も無いので、この時は留守番であった。ちなみにこの時、ジョゼとアンリに寝顔をガン見されていた事をブサは知らない。

 この町に着いてすぐにギルドに行った時には全く聞けなかった情報も、今朝になって行ってみればボロボロと出て来た。何故かと言うと、女性陣からの妨害が無かったからだ。というのも、薬草は夕方から朝に掛けて成長しきる事が多い為、この時間にはギルドには女性はほぼいない。


 昨日は軽い気持ちで迷宮に入ってとんでもない目にあった、と言えば男のギルド員達は苦笑いだ。そんな彼らも、ロラン達と同様に迷宮に入って後悔した口である。


 各自の苦労話も交えて得られた情報は、『迷宮は上下階があるという事』がまず一つ目。上階は三階層、地下階は何階層まであるかは不明。

 二つ目に、上階部分と、地下二階までは女性陣に完全に占拠されているという事。その為、もしも薬草を手に入れようとするのなら地下三階より下に行く必要がある。

 そして三つ目が……。


「薬草が採れたとしても、女共に確実に狙われるからな」

「「「それな(ナ)」」」


 場合によっては、実力行使もあり得るらしい。だが、ギルドは何も言わないのだろうか?


「ここのギルド上層部に女が多くいるからな……職員にも女が多いし。余程のとこから受けた依頼でも無ければ、なあなあで済まされちまうんだよ……」


 思いっきり職権乱用である。それで良いのか。


「良くねーよ。けど、迷宮に行かなくてもそれなりに依頼はあるんでな。むしろ、アレと関わりたくない」

「……心中察する。もっとも、俺らは薬草を手に入れる依頼を個人的に受けてる訳だが……」

「……まず、依頼失敗だろうな」


 それは困る。ロラン達の目的と、依頼の報酬は奇しくも一致しているのだ。この依頼を失敗する訳にはいかない。

 

「無駄かもしれんが、依頼人にはギルドを通して指名依頼扱いにして貰えるように頼んでおくか」

「気休めかもしれないが、その方が良いかもな」


 そう言いながら、迷宮の情報を教えてくれたギルド員が指で示すのは依頼表の貼られたボード。それを見てみれば、赤字で書かれた薬草採取依頼が多数。何の薬草かというと、迷宮産のものな訳で。


「依頼の為じゃ無く、自分で使う用として採りまくってるからな。そろそろ問題になるんじゃないか? あっちが放置されっ放しだし、明らかな妨害行為もあるからなぁ」

「他に気を付けた方が良い事はあるか?」

「地下三階より下に潜るんなら気を付けろ。出て来る死霊がかなり強くなるからな」

「色々と助かった」

「構わねぇよ。出来りゃぁ、女共に痛い目見せてやってくれるとありがたいね」

「向こうの出方次第だな」


 男性陣からのエールを受けて、教会を経由し、宿に戻る。そして冒頭にも戻る。

 息を荒げながらブサをガン見する一人と一匹を捕獲し、ブサを叩き起こす。

 ちゃっちゃと朝食を取り終えれば、あとは迷宮に挑戦するのみ。


 昨日と同じく迷宮の入り口に立ち、覚悟を決めて中に入る。


「ちょっと! ソレあたしが目を付けてたのよ!?」

「何よ! 手に入れたのはアタシの方が先なんだから!!」

「この一帯は私達のパーティーの縄張りなんだから、手を出さないでって言ってるでしょ!?」

「ハンッ! 勝手に自称する縄張りなんて何の意味も無いね!」

「早く育て早く育て早く育て早く育て早く育て早く育て……」


 どこかで見た光景。というより、昨日も見た光景そのままである。覚悟はしていたものの、昨日と全く同じ光景に動揺したアンリが小枝を踏み折り、一斉に目を向けられる所までが綺麗にそっくりそのままワンセット。

 昨日と違うのはこの後のロラン達の行動だ。

 女性陣から無言の視線を向けられても怯む事無く足を進める。ジットリとした視線を纏わせながら、階段を下りていく。階下でも同じような光景が繰り広げられていた。ただし、一階よりも女性の数は少ない。

 

 フッと湧いて出た死霊に女性達の攻撃が一斉に襲い掛かるが、上で見た時よりも明らかに梃子摺っているように見えた。どうやら、この階で出る死霊は一階で見たものよりも強いらしい。女性陣が占拠しているのは地下二階まで。すなわち、そこまでなら対処出来る強さという事。それ以降はどれだけの強さを持っているのか。

 だが、薬草を手に入れるのであればさらに地下へと下りるしか無い。


 次の階層を通る際にはロラン達も死霊に襲われる事となった。

 全力でブサが悲鳴を上げるのを抑えている間にロランの弓が死霊を射抜き、サミュエルの剣が切り裂き、アンリの魔法でトドメを刺す。リュシアンだけが何もしていない。いや、ブサに悲鳴を上げさせないという大役をこなしていたのだ。……大した役目でも無いですね。


「いやいや、大声出したらアイツラ寄って来るかラ。大事な事だかラ」

「え~? ほんとにぃ~?」

「お前、クッソむかつくナ……!!」

「はいはい、後にしろー。さっさと進まないといけないんだからな」

「やーい、怒られてやんのー」

「てめぇもだ。クソ猫」

「げふぅ……っ!!」

「(やーイ)」


 仲良しさんめ。

 

 今いるここは地下二階層。この階層までは女性に占拠されているとの事だが、周囲を見回しても女性の姿はn……。

 突風が吹いた。


「……ロラン、今のは何だったのでしょうか……」

「……現実を、見ろよ……」

「足はえぇなぁ……」

「そういう問題じゃないだロ」


 薬草らしき物が見えた、と思った瞬間に突風と共に女性が通り過ぎ、その後には薬草らしき物は何処にも無くなっていた。そして遠ざかって行く女性の背中が視界から消える。


「まぁ……こういう事か」

「確かに、薬草を採れそうな気はしねぇなぁ」


 恐らく、薬草の育つタイミングをきっちりと把握しているのだろう。そのタイミングに合わせて全力ダッシュで薬草を集めて回っているらしい。何という薬草マラソン。

 その後も薬草らしき物を見つける度に女性がマッハで通り抜けて行く。そしてその後に薬草の姿は無い。ついでに気付いた事だが、この階層にも女性は複数いるようだ。流石に一人では回り切れないのだろう。


 ぱっと見の人の少なさに、この階でなら薬草が採れるかと思っていたがやはり厳しそうだ。大人しくさらに下に続く階段を探す。その後もマッハ姉ちゃんを見る事十数回、死霊に襲われる事数回。死霊を押し付けられる事二回。

 マッハ姉ちゃんを見た回数と同回数薬草を発見しているのだが、ロラン達が確保出来た薬草は未だゼロである。


「クッソむかつく……!!」

「明らかに俺らに気付いて擦り付けてるよなぁ……」

「聞いていた妨害行為の一つでしょうね。聞くと体験するとではだいぶ違いますが」

「無駄かもしれないが、ギルドには報告しておくか。さっさと下りるぞ」


 愚痴るロラン達の前にはさらに下へと続く階段。

 この先には女性陣はいない筈。それだけ厄介な死霊がいるのだろうか? 不安になるブサだが、ロラン達の歩みは止まらない。自然とブサも強制連行である。


 階段を下りて、すぐ目の前に広がる光景。

 カサカサ……と音が響く。思わず無言になるブサとロラン達。

 次の瞬間、ブサの悲鳴が響く。


「ひぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

「「「「うぉぁぁぁぁぁぁ(ァ)!?」」」」


 ブサよりも大きなゴ○ブリの群れ。少なくとも十匹近く。それがロラン達がこの階層に足を踏み入れた瞬間、一斉に襲い掛かった。

 次話にも奴らが大量出現します。

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