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どうやら、今日から草食系らしい

 十日の予約投稿ミスっていました。申し訳ありません……!!


 お詫びになりませんが、本日二日分を投稿とさせて頂きます。いつも通りの12時と、2話目は13時となります。

 申し訳ありませんでしたorz

「へい、お待ちぃっ! ステーキと焼き野菜盛り合わせ、それと今日のお勧めディナーセットだよっ!」

「お、うまそうだナ」

「あと、こっちのモッサリした方の猫には焼き野菜盛り合わせと、鳥のササミ入り温野菜サラダ……で良いんだよな?」

「太り過ぎなんでな、ダイエットだ」

「あぁ、なるほど……。人間からしたら、デブ猫にゃぁデブ猫としての魅力があり過ぎるんだけどな。特に腹の弾力がたまらん!! だが、猫の健康として考えたら痩せてる方が良いもんなぁ……。おう、頑張ってダイエットしろよ!」

「ふべぇぇぇぇぇ……」

「お、変わった鳴き声だな。それと、こっちのモッサリしてない方には猫用ディナーセットで間違い無いな? こっちは太って無さそうだしな、沢山食えよ!」

「ヴナァン(ありがと)」

「おぉ! 行儀の良い猫じゃねぇか! それじゃぁ、ゆっくりしてってくれよ!!」


 現在ブサ達がいるこの店はペット同伴可の飯屋である。ペット同伴可……というよりも店自体がペットを大量に飼っていて、看板猫、看板犬、看板ウサギがそこら中にいる状態だ。表には看板羊と看板馬までもが居た。看板多過ぎである。

 猫だけで六匹、その中にはもちろん雌猫もいるが、雄雌問わず去勢済みの為ブサにも安心である。逆に去勢済みの為か、雄猫に擦り寄られて鳥肌になっていたが。猫なのに。ちなみに、その(元)雄猫はジョゼに撃退されている。


 各自の注文の品を一度に運び、快活に笑いながら店員が立ち去った後、各自が目の前に置かれた食事に手を(口を)付け始める。ただし、ブサだけが無言のまま目の前の皿を()め付けたまま動かない。


「ブサ。お前は痩せないといけないんだから、大人しくソレ食え」

「ぶぇぇぇ……」

「異論は認め無ぇからなぁ?」

「うぶぇぇぇ……」


 ロランに言われて渋々口を付けるが、どこをどう食べても野菜である。しかも非常に薄味。

 唯一の救いは鳥のササミが入っている事だが、小さな欠片がほんの五切れほどである。食べようと思えば一瞬で無くなってしまう量だ。

 せめてもの訴えで人語に思われない程度の呻き声を出すが、アッサリとサミュエルに切り捨てられる。再び不満を込めた呻き声。だが全員が華麗にスルー。


 モサモサと進まぬ食欲で食べ始めるが、ブサの頭の中は不満で一杯である。

 何故、自分だけがこんなウサギの餌のような食事なのか。何故も何も、太り過ぎた自分が悪い。……まぁ、それを増長させたロラン達も悪いが。せめて、室内でだけでも運動していればこんな事にはなっていなかった筈なので、結果的にはブサが一番悪い。運動は程々に必須である。


(青臭い……苦い……肉食いてぇ……)


 農業技術は前世日本程は進んでいないのか、野菜ならではの青臭さやえぐ味が目立つ。

 とは言え、実はそれ程大きな差がある訳では無い。猫の体になった事で舌が敏感になっているというのが大きい。人間の時は、ジャンクフードやインスタント食品に多く含まれている化学調味料で舌がぼけていたから感じていなかったというのも大きな理由だろう。そもそも、前世のブサは元から野菜を好んでいなかった為に美味しいと感じないというのもあるが。


 ちなみに、過去の人物が農業チートもやらかしているので、野菜の味はそれなりに良いし収量も多い。

 ついでに、マヨネーズやチーズやバター、ソースに醤油、味噌や納豆など……調味料や加工食品も普通に広まっていたりする。おかげで最初から食料関係で不満を持つ事は少ないが、もしも今から食料チートをしようと考えている転生者が居たらご愁傷様な状況である。


 野菜を齧るのをやめてチラリとジョゼの方を見てみれば、野菜と馬刺しのサラダ、刻んだ野菜と鶏肉のスープ煮、鶏肉の出汁の薫るチーズリゾット、デザートにはフルーツのゼリー寄せと……人間用ディナー顔負けの充実メニュー。

 ロラン達の方を見てみれば、分厚いステーキと焼き野菜盛り合わせ、お勧めディナーセットの中身は山盛りのパンと魚の煮込み、チキンスープ、サラダ、猫用ディナーと違ってデザートは付いていないものの、量も十分、味も良いようでロラン達の食べるペースは速い。自分とは大違いである。

 

 ブサの食事はというと、焼き野菜の方には根菜や芋類もゴロゴロと入っており、ボリュームも十分。店側の行為で芋類は甘みの強い物が使われている。そんな事ブサは知る筈も無いが。

 そしてサラダもまた温野菜になっている為、野菜の甘みが際立っている。味付けは薄いが野菜好きには堪らない一品だ。両方とも野菜がメインだが量としては申し分無い。芋類も入っている為、腹を満たすには十分な量だろう。だが、『野菜メイン』という時点でブサにとっては唾を吐きかけたくなるメニューだ。あるいは、野菜嫌いにとっては。


(野菜なんて滅びれば良い)


 当然ながらブサの願いは叶わない。

 野菜メインの食事を終えた後、意気消沈したまま部屋に戻ったブサを待っていたのは恐怖だった。


「さて……今日は早めに休みましょうか?」

「ヴニャゥン?(一緒に寝ましょう?)」


 はい、変態一匹追加入りましたー。ハァハァと息を荒げながらブサに迫る一人と一匹。

 ジョゼは変態では無いのだが口調と行動が色々アウトである。アンリ? 紛れも無い変態です。


「あっ!? ロラン、何をするんですか!? 今日こそ、私はブサと……グッ!?」


 スヤァ……


「ヴニャァァァ!? ……ヴヌン(ちょ、離しなさいよぉぉぉ!? ……あら)」


 ジリジリと近付く一人と一匹、ジリジリと下がるブサの地味な攻防戦はロランがアンリを締め落とし、ジョゼをサミュエルが捕獲した事で終了した。グッタリとしたアンリをベッドに放り投げ、ヴニャヴニャ鳴き喚くジョゼをカゴに放り込む。それはそれで、ジョゼとしてはブサの匂いが色濃く残るカゴの中でご満悦のようだ。……やっぱりこいつも変態なのかもしれない。


「あ~……まぁ、こうなるよナ」

「「だな(ぁ)」」

「ぅひぃぃぃぃぃ……」

「ちなみに、この町に滞在中は大部屋確定だからナ?」

「いやだぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 嫌だと言われても、この町にしばらく滞在するのは既に決まった事であるし、日数分の宿も取ってある。今さら宿を変えるのは面倒だし、余程の事が無い限りは宿はこのままだ。ブサにとっては試練の日々が続く事になる。

 気の毒だとは思うが……今さらだし。それにブサだし。


 そんな事より明日以降の予定だよねー、と和気藹々。だが、すぐにそれも手紙を思い出して一気にお通夜モードだが。


「「「面倒」」」


 まぁ、悪い事にはならないよ。多分……。



 * * * * * * * * * *



 翌朝もまた、ダイエット仕様の朝食を終え――もちろん、ダイエット仕様はブサだけで他の面々は皆普通の朝食だが――気持ちホッソリしたブサを連れて教会へと向かう。ちなみに、ホッソリしているのは毛がのボリュームが減っているだけなので目の錯覚だ。実際の体重は全く変わっていない。

 ついでに、ジョゼはお留守番である。昨夜ブサが使っていたクッションを与えてあるので、今頃はくんくんタイムだろう。猫なので……セーフ、か?


「……今さらだが、お前は黙ってろよ?」

「ぎなー」


 わざとらしい猫演技。物凄く棒読みである。


 教会に近付くにつれて人も増える。いつもの通りにヒソヒソ、ざわざわされつつも無の境地で教えられた道を歩む。視界の端に衛兵がスタンバっているのもいつもの事だ。ついでに猫の影がチラホラしているのもここ最近の見慣れた光景である。ジョゼがいないだけブサのガードは薄くなっているが、カゴがあるのでまだ安心である。


「ニャーン」

「ちょ、おまっ!? いつの間ニ!?」


 カゴを開けようと前足でカシカシしている見知らぬ猫の姿。ばれないようにコッソリ動いていたのだが、鍵が開けられない事に思わず鳴き声が出てしまったらしい。全く気付いていなかったリュシアンが驚く。

 体重を感じなかったのも当然。二本足で立って必死に歩きながらカゴの鍵をカシカシしているのだから。それにしても可愛い。

 思わぬ闖入者に周囲の人間もホッコリするが、慌ててブサのカゴを抱え上げる。『あっ……』とばかりにカゴを目で追う猫の姿に胸が痛い。ついでに、周囲の人間の目も痛い。……いじめてる訳では無いんですけどね。

 某旅館のペット用ディナーコースが普通に美味しそうだった件について。


 個人的にはゴ○に滅んで欲しい。知人曰く「アレが滅ぶ前に人類が滅ぶよ」……凄く納得しました。

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